千早亭のワッフルさんから、メンバーに特別養護老人ホームへの出前落語のお誘いがありました。
1月中旬の新年会だそうです。
行きたいのは山々ですが、平日なので、難しいと思います。
このホームには千早亭で何度か行っていて、私も一度行って「花色木綿」をやりました。
この時に、高座の私と客席のおばあちゃんとこんなやり取りがありました。
(私)「こんにちは・・」
(婆)「はいはい」
(私)「ごめんください。お留守ですか?」
(婆)「いますよ」
(私)「物騒ですよ。泥棒が入りかけてますから」
(婆)「ここにいますよ」
高座と客席の掛け合いになって会場は大爆笑。
ホームのスタッフの方が、慌てて「おばあちゃん、落語だから返事は要らないのよ」って・・。
そんな楽しい?思い出があります。
母がお世話になっているホームの施設長さんは女性なんですが、笑い上戸のようです。
私がちょっと洒落などを言うと「面白い」「可笑しい」と素直に笑ってくれますので、最近は、話をする時は必ず笑わせることをノルマにしています。
突貫工事で高座にかけた「短命」。
客席の学津さんが写真を撮ってくれました。
散々の出来で疲れました。
この3ヶ月は6回の高座を務めました。
◆7月28日 子別れ(深川三流亭)
◇8月26日 怪談牡丹燈籠(学士会落語会)
◇9月 1日 浜野矩随(牛久味わい亭)
◇9月16日 揺れるとき(OB落語会)
◇9月24日 長短(ふれあい快笑会)
◆9月29日 短命(千早亭落語会)
そのうち、ネタ下ろしは2つだけでした。
なかなか新ネタが増えない悩みと、持ちネタの練り上げの機会との兼ね合いが、実に微妙です。
そんな中で、「短命」は、ほとんど稽古らしい稽古も出来ず(せず)に本番を迎えました。
しかし、完全にサボっていた訳ではありません。
たしかに7割は怠慢ですが、3割は試みでした。
落語を覚える、語る・・・。
落語のあるべき、自分の落語のあるべき姿。
そのために考えること、やるべきこと。
新たに加える部分、きっぱりと切り捨てる部分。
そう言えば、落研の先輩の談亭志ん志師匠も、先日のOB落語会の時に、「最近は、稽古量が少なくなったよ」などと、何か壁のようなもの、葛藤の存在を語っておられました。
その気持ち、とてもよく分かります。
私もそうかもしれないですから。
お客さまから「良かった」「上手くなったと」という評価を頂戴する次元ではなくて、それは当たり前で、さらなる高みはないか、それは何か(どこか)を求めて実践する次元や領域なんでしょう。
それにしてもひどい出来でした。
言葉(単語)が出て来なかった場所も数々。
不完全な細かな感情表現や仕草。
ただし、この噺も楽しい。
「試し酒」「長短」と「短命」は、"脱(非)人情噺"として、大切な財産になりました。
不遜を言わせていただくと、覚えるのも楽ですから。
同じ千早地域文化創造館で稽古をしている千川亭から、龍士さんが交流稽古で参加してくださいました。
龍士さんは、今まで2度高座を聴かせていただいています。
・・・そして、とうとう、我々の素人連から、プロの噺家さんの卵が誕生しました。
以前から、師匠の100人以上いる素人弟子の中には、若い人でプロになりたいという人もいることは聞いていました。
龍士さんのことは、ほとんど存じ上げませんが、年齢は20代の後半という感じですから、今が最後のチャンスなのかもしれません。
師匠のお弟子さんの三遊亭萬窓さんの一番弟子ということになるそうです。
これで、吉窓一門の小吉さんと、師匠の孫弟子が2人になります。
入門以前からずっと見守ることが出来るというのも、一落語ファンとしては、これまた楽しみなものです。
そんな龍士さんの「寿限無」を聴きました。
この噺は、高座でかけたことはありませんが、千早亭の前身の師匠の「落語講座」の時に、みんなでやったり、「揺れるとき」の劇中に、老噺家が若き三遊亭圓朝に稽古をつける場面がありましたから、私も持ちネタとしています。
龍士さん、かなり緊張していた感じでした。
師匠のコメントは、いつもこの噺の時に必ず仰るのですが、「寿限無・・・」と、何人も何回も言うが、その感情や背景は全て違っているのだから、言い方や仕草も変わっていなければならないということと、臨場感を出すための目配せや、遠近感を出すための声の出し方延ばし方が大事だと・・・。
単なる早口言葉で笑わせる噺ではないと、「揺れるとき」の中の稽古でも、老噺家に言わせています。
・・・ところで、ちょっと気になった所がありました。
寿限無を全部表すと、以下のようになります。
「寿限無寿限無 五劫の擦り切れ 海砂利水魚の水行末雲来末風来末 食う寝るところに住むところ やぶら小路のぶら小路 パイポパイポパイポのシューリンガン、シューリンガンのグーリンダイ、グーリンダイのポンポコピーのポンポコナーの長久命の長助」
正しい、正しくない、ということではなくて、私自身も「寿限無寿限無・・・」と言い立てていますので気になったのですが、多く聞くパターンと違って「パイポ」が一つ足りませでした。
「パイポパイポパイポのシューリンガン・・・」のリズムが「パイポパイポのシューリンガン・・・」だったので。
瑣末なことかもしれませんが。
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