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2019年11月26日 (火)

恐る恐る・・・

「算段の平兵衛」を演るに際して、米朝師匠の公演筆記を参考にさせていただきました。
しかし、そもそも上方落語、上方弁で、音源を聴いても江戸弁とはリズムやトーンが微妙に異なるので、ほとんど聴きませんでした。
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この噺について、こんな説明文があります。
やり手がなく滅んでいた噺を、昭和の戦後に三代目桂米朝が先人から断片的に聞き集め、復刻した大ネタ。
くすぐりが非常に少なく、なおかつ人の死体やエゴに満ちた登場人物を陰惨に感じさせずに描写する必要があり、演者にとっては技量が試される。
三代目米朝は「悪が栄えるという内容なので、後味が悪くならないように演じるのが難しい。平兵衛をどこか憎めない男とか、共感するようなところあるように描かないと落語として成り立たない」と論じている。
    
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実は、落語っ子連の稽古では、演読で2度、しかも1度目は前半だけしかやれませんでした。
2度目の時に、蝶九さんから「陰惨な部分のある噺だから、軽くコミカルにした方がいい」とのアドバイスを受けました。
・・・確かに、高座本を愚直に追いかけると、言葉で「死骸」だとか「首を吊った」とか「崖から突き落とす」とか、そのまま表現すると、本当に重たくなって、全体が陰惨になってしまう。
そこで、本番の約10日前に高座本を追うのをやめました。
幸いにも地語りの多い噺なので、私のトーンを少し上げて、テンポも少し上げて、話しかけるような地語りにしようと。
ストーリーは覚えているので、それ以上はあまり考えず、自分の頭の中の言葉の引き出しに賭けることに。
・・・そして、何とか本番をこなし、リクエストくださった大先輩からも"合格"をいただくことが出来ました。
そこで、そこでです。
上方弁の「算段の平兵衛」を改めて聴いてみようと、恐る恐る、米朝師匠とお弟子さんの南光さんと米團治さんを聴いてみました。
そうか、元々そんなにコテコテと笑いを誘う噺ではないから、これでいいんだ。

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