落語DEデート
もう9月になってしまいました。
◇「馬大家」二代目三遊亭円歌
またまた円歌師匠です。
◇「あくび指南」十代目金原亭馬生
馬生師匠の魅力は、緻密さと緩さが同居している不思議な芸風だと思います。
【馬大家】
大家・馬場進さんの長屋に借り手がやって来た。
大家は大の馬好きだから、午年以外の借家人は置いていないので、午年の貴方なら借りられるかも知れないと長屋の住人に言われた。
大家は午(うま)年の午の月の午の日、午の刻に南部の馬の生産地で、生まれたと言う。
馬の悪口は決して言ってはいけないと、住人に知恵を付けられ大家の家にやって来た。
大家は入口に馬頭観音を飾り、馬小屋のような玄関の造りになっていた。
「私は三十三の午年生まれの者ですが、あすこに空いている一万二千円の家を借りたいのですが・・・」、手数の掛からないのがやって来たと、中に通された。
大家は飼葉桶に灰を入れて火鉢にしていた。
借り手の前職は曲馬団(サーカス)にいた。
その時馬を攻めすぎて、片足が不自由になってしまったが、口の利けない馬をそれ以後は大事にしたと言うと、大家は馬に成り代わってお礼を言うよと、半額の六千円に家賃を負けてくれた。
いままで住んでいたのは、横浜・馬車道に永らくいたが、その後東京・浅草の馬道8丁目、厩橋と駒形橋の間で焼け出され、練馬の方に引っ越して、叔母さんが日本橋の小伝馬町と馬喰町の間にいて、叔父さんが渋谷の駒沢と上馬にいます。
ここ駒込に引っ越してきたら、馬が揃うが、生まれは何処だと聞かれたので、群馬県の相馬村です。
ところで、好物はと聞かれ、好きな食べ物は人参とウマ煮だ、と答えると、大家は馬肉だという不心得者が居るがとんでもないが、どんなうま煮を食べるのかと問われ、「馬鈴薯です」と答えた。酒は白馬(しろうま=ドブロク)を頂きます。
ところで大家さんの干支は何ですか。
午年で婆さんも午年だがどうして?
「午年の大家でないと借りないと言う人間だ」と啖呵を切った。
借りられる事になって、名を聞くと本馬幾造だと言う。
大家夫婦以上に息子はもっと馬に似ているという。
あまりにも可笑しいので「ひひひ~~~ん」と笑った。
笑い方がイイというので二千円負けてくれた。
息子は競馬の騎手をしているという。
引越の日は午の日に決めて手を打ったが、今の職業はまだ聞いていなかった。
「バケツを作っている」と言う。
「馬力を掛けて作っているので、困る事はない」とも言う。
大家は感服して家賃はタダだと言う。
「婆さんや、イイ若い者が来てくれるよ」、「最初から最後まで良く馬を操っていたね」、「それもそのはずだ、前の職業が曲馬団だ」。
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