« また落語特集? | トップページ | 21世紀落語史 »

2019年8月20日 (火)

「ミニ寄席」ブーム

落語に理解のある?東京新聞の記事を見つけました。
東京都内には数百人収容の常設の寄席があるが最近、客席が数十程度の「ミニ寄席」が続々誕生している。
地域住民が「気軽に行ける小屋」を目指して立ち上げたり、落語家自身が「勉強の場」のために一念発起して創設したりと趣旨はさまざま。
落語はブームといわれるが、噺家が増えすぎて飽和状態でもある。
アットホームな雰囲気が特徴のミニ寄席は新たな落語の楽しみ方として定着するか。
Topmain_visual

七月下旬の土曜の昼下がり、東京都北区の住宅街のマンション一階にある「梶原いろは亭」では、真打ちの三遊亭楽松が人情噺「子は鎹」を熱演し、地域住民らが聞き入っていた。
今年一月にオープンした四十五席のいろは亭を運営するのは、NPO法人「いろは苦楽部」。
当初は地域の高齢者らがパソコン教室などを開いていた組織だが、「落語で地域を盛り上げられないか」との機運が高まり、寄席を始めた。
運営メンバーは約二十人、金銭面などでもサポートする「いろは友の会」には個人と法人合わせて約百人が名を連ねる。
地元の商店や職人らも協力している。
場所はマンションのオーナーの好意で借り受けた。
毎週月-水曜の昼席(午前十一時半開演)は若手中心。
毎週土曜などに午後一時半開演の「週末昼席」は真打ちクラスも出演。
芸人も協力的で口コミで広がり、開設から約半年で落語や講談、色物など出演者は百人を超えた。入場料千二百~二千八百円。
運営メンバーは「地域の人と協力しながら続けていくことに意味がある」と口をそろえる。
Photo_20190820164501Image_20190820164501
日暮里駅から歩いて六分、荒川区の下町情緒あふれる地域に四月、「にっぽり館」ができた。
真打ちの三遊亭萬橘と林家たけ平の親友同士が「自分たちのホームグラウンドを持ちたい」と志を掲げ、すし店だった建物を改装。
四十席の「マイ寄席」となった。
寄席は月八日程度の開催だが「満員の日も多く、採算は取れている」とたけ平。
二人は界隈で約七年、落語会を開いてきたが、「新たなステップ」として自前の高座にこだわった。
萬橘は「ここを入り口として、“箱”も込みで楽しんでほしい」と強調、たけ平は「地域に根付いた寄席、観光スポットになれば」と夢を語る。
Yjimage3glex3xeD5tntbyuyaehghu

墨田区東向島の商店街の外れに五月一日、「向じま墨亭」が開場した。
「落語をなりわいにしてきた恩返しがしたい」と発起したのは地元在住の演芸評論家で、大学講師も務める瀧口雅仁さん。
向島は「落語中興の祖」と呼ばれる烏亭焉馬(一七四三~一八二二年)が主宰の会を開いたことから、「江戸落語発祥の地」とされている。
瀧口さんは自宅隣に十年以上も空き家になっていた築六十年以上の店舗を買い取り改装。
一階は事務所、二階の六畳二間の座敷を約二十人ほどが入れる寄席にした。
オープン三カ月余。
好評を博し、出演者のファンが遠方から駆けつけることもあるという。
商店街関係者から「人を呼ぶきっかけになった」と喜ばれている。
「まずは続けていくこと。ここに出たいという人が増えて、演者が成長していくのが楽しみ」と話す。
274330
<演芸評論家の矢野誠一さんの話>
昔は地域にたくさん寄席があり、落語家の生活が成り立っていた。
最近は落語家が増え、若手には勉強の場が必要だ。
飲食店などでの落語会も多いようだが、小さな寄席が増えてきたことは喜ばしい。
何よりもお金を払って落語を聴きに行こうという人が増えたのはいいことだ。
ただ、採算面などで思うようにいかないこともあるだろう。
個人の力では無理と思った時でも知恵を絞って採算が取れる方法を考えてほしい。
落語が好きで始めた道なのだから。
C9ab2169_640130102_112620
人気番組「笑点」メンバーの三遊亭好楽は二〇一三年から台東区の自宅一階に、約四十人収容の「池之端しのぶ亭」を構え、若手の勉強の場として門戸を広げている。

ミニ寄席のあるべき姿とは-。 
-開設のきっかけは?
落語家になって五十数年、指導してくれた師匠や先輩方にお礼をしようと思ったけど、みんな亡くなった。
ならば「若い人を育てるのが感謝だな」と思い「しのぶ亭」を構えた。
私の最後の役目です。
-自宅に「マイ寄席」、ぜいたくですね。
昔は「壁に向かって百回稽古せよ」と言われていたが、壁は何も返事しないでしょ。
一人でも聴いてくれるお客さまがいれば緊張もする。緊張感のある稽古を重ねていけば、うまくなるんですよ。
-こだわりは?
大事なのが緞帳。
緞帳が上がった瞬間の緊張感は得難いですから。
-ミニ寄席の魅力は?
何千人を前にした独演会もうれしいけど、目の前のお客さまがゲラゲラ笑ってくれる。
これは落語家冥利につきます。
客席に近いほど私はやりやすい。
マイクなしで生の声を聴いてもらい、お客さまの反応も分かるところかな。
-地域密着も図る?
最近、地元の小学生三十人ほどが来て、私と弟子たちの噺で爆笑した。
手拭いまきやクイズ大会でも大はしゃぎ。
子どもたちが落語に興味を持ってくれることはうれしい。
O0500037213096559339
Pk2019081802100154_size0
・・・小さな会場で聴くのも悪くはないと思いますが、どうも、やや逡巡する部分もあります。
勿論、1000人を超えるような会場は基本的には遠慮したいですが。
と言うのは、小さい会場も、大きい会場も、演者と聴き手の関係・・・関わり具合が、強すぎたり弱すぎたりする面がある気がします。
聴き手として、あまり小さな会場だと、良い意味で空間に浸ることが出来ない、大きすぎると散漫になる。
Cjheuavxeaixlh72013120320300000
客席に誰がいる・・・というのが分からないぐらいの数の規模はあった方が良いと思います。
そういう観点から言えば、50人から150人程度が、落語にはベストな規模だと思います。
寄席の規模というのは、長年の経験則で、概ね外れていないということだと思います。

« また落語特集? | トップページ | 21世紀落語史 »

テレビ・ラジオ・新聞・雑誌」カテゴリの記事