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2019年7月28日 (日)

ちゃんこの恩返し

今日の稽古、「ねずみ穴」を聴いていただいた後、時間があったので、師匠の創作「ちゃんこの恩返し」を初読みしました。
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この噺は、昭和初期に書かれた「一本刀土俵入り」という芝居をベースにしている作品です。
「一本刀土俵入り」という作品は、細かいところまでは知りませんが、何となく知っていたので、ちょっと遊び心で、読ませていただきました。
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【一本刀土俵入り】
水戸街道の宿場町・取手の茶屋旅籠、我孫子屋の二階の窓にもたれて、あばずれた様子の酌婦お蔦が酔いをさましている。
そこへ空腹でふらふらしながら取的の茂兵衛が通りかかる。
茂兵衛は破門された相撲の親方のところへ、もう一度弟子入りしようと駒形村から出てきたのだが、すでに無一文。
からんできたやくざの弥八を頭突きをくらわせて追っ払ってやったのがきっかけとなり、茂兵衛はお蔦に問われるままに、身の上を語る。
実家も焼けてしまい、天涯孤独な身の上の茂兵衛は、立派な横綱になって故郷の母親の墓の前で土俵入りの姿が見せたいという夢をあきらめられず、飲まず食わずの旅をつづけてなんとか又入門をゆるしてもらおうと江戸へ向かっていると言うのだ。
母親想いの純情一途な茂兵衛の話に心をうたれたお蔦は、故郷越中八尾の母親を想って、小原節を口ずさむ。
そして持っている金全部と櫛、簪まで茂兵衛に与えて立派な横綱になるようにと励ます。
茂兵衛はこの親切を生涯忘れないと誓う。
お蔦のおかげで食べ物を手に入れることができた茂兵衛だが、一足違いで渡り船に乗り遅れてしまう。
そこへ後を追ってきた弥八と仲間が襲ってくるが、茂兵衛は川の中へ投げ込んでやっつけてしまう。
十年後、渡世人となった茂兵衛は我孫子屋のお蔦のことを尋ねて布施の川べりにやってくるが、ヤクザ相手にイカサマ賭博をやった船印堀師(だしぼりし)辰三郎に間違われて、博労の親方・儀十の子分たちに打ちかかられる。
実は辰三郎は、お蔦の夫だった。
今では飴売りをして娘のお君とほそぼそとだがまともに暮らしているお蔦。
そこへ儀十と子分たちが辰三郎を探して乗り込んできたので、お蔦は何年も行方知れずだった夫辰三郎がまだ生きていて、追われる身だと知る。
夜更に辰三郎が戻ってきて、親子は再会を喜び合う。
辰三郎は少しでも金を持って帰ろうとしてイカサマに手を出したことを悔やむ。
そんなところへお君の歌う「小原節」にひかれるように茂兵衛が訪ねてくる。そして十年前の恩返しにと金を渡すが、お蔦は茂兵衛を覚えていない。
追手がこの家を囲んでいることに気づいた茂兵衛はお蔦家族をかばって、博徒たちをたたきのめす。
その姿を見て、お蔦は十年前のおなかをすかせた取的のことを思い出す。
お蔦親子は十年前のことを忘れずに恩返ししてくれた茂兵衛に感謝しつつお蔦の故郷へと旅立って行く。_20190729_092030
私は、芝居の部分は全く出来ませんから、ちょっと工夫をすれば、なかなか良い噺賑やかになりそうです。
誰か知らない人から「一本刀土俵入り」の芝居の招待券を聴いて受け取った夫婦が、更に誘導された店で・・・。
昭和の匂いのする噺になっています。
成功譚ではない、落語ならではの噺に。

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