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2019年5月20日 (月)

中トリ?

プロ中のプロである師匠に指導を受けていると、自分たちの思い込みや伝承で、誤用している言葉が多くあることに気がつきます。
例えば「中入り」。
多くは「仲入り」としていますが(寄席でも一部で)、これは「中入り」が正しい。
相撲の「中入り」と同じです。
それから、「中トリ」という言葉。
さらに転じて「大トリ」なんて言うのも。
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「トリ」というのは、「主任」と書き、寄席の楽屋用語でしたが、今やフィナーレを締めくくる人のような意味で一般的化し、ステイタスの表現で用いられています。
昔の東京の寄席では、まずトリの芸人が出演者全員のワリを受け取り、各出演者に配分していた代表の“取り役"だったため、「トリ」という呼称が生まれたのです。
最近は中入りまでの、前半を締めくくる人のことを「中トリ」と呼ぶのが通常になりました。
「トリ」に準ずる大きい出演者という感覚で捉えられています。
また、最後に登場する最高位の出演者という意味で「大トリ」と呼ばれることもよくあります。
確かに「出演料を一番多く取る人」ですが、原義から考えると「大トリ」は「出演料を独り占めするケチな人」、「荒稼ぎをする人」のようなイメージになり、ましてや「中トリ」など、昔にはあり得なかった呼称と言えるでしょう。
写真は、某大学落研の高座の様子ですが、やはり「中トリは〇〇」などツイートされていました。
我が落研の現役諸君も使っています。(私の時代もそう言っていました。)
それにしても、業界の符牒を、一般の人が使うのは・・・?だと思いますね。

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