乱志十八番「父と子」三題
父親と息子と言うのは、近くて遠い存在だと思います。
父親は、見栄を張りながらも、可愛くて仕方のない息子を、ある時は谷底に落としたり、陰で見守ったりするものです。
持ちネタに人情噺が多い私ですが、やはり「親子」というのは、大きなテーマになります。
乱志十八番の中で、「ねずみ」「藪入り」「抜け雀」は、父親と息子です。
「火事息子」も、父と子を描きますが、母と子の要素も持っているので、ここでは上の3題で語ろうと思います。
父親と言うのは、母親と違って、優しさやスキンシップで愛情を表現できる存在ではありません。
自分のコピーでもありますから、歯痒くもある。
「藪入り」の熊さん。
自分が奉公して苦労したから、それだけに、同じ苦労を味合わせることがつらい。
私の父は、熊さんに近かったかもしれません。
演じていていつもそう思っていたものです。
「抜け雀」の親子は、谷底に落とし落とされ・・。
しかし、底では、それぞれを理解し評価している。
我が子を突き放す辛さ、親を客観的に見て評価する息子。
紆余曲折はあっても、ある意味で理想の親子かもしれない。
「ねずみ」の親子は、賢い息子に救われる。
親子というより、親孝行で聡明な息子が描かれます。
・・・自分が人の親になって、息子と接する時に、どんな親父でいるべきか。
いろいろやり方はあるのでしょうが、自らの経験で言えることは、自分の息子を信じて肯定することだと思います。
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