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2019年3月31日 (日)

千早亭永久「鬼子母神 藪中の蕎麦」

2012年9月の「千早亭落語会」では「鬼子母神 藪中の蕎麦」。
これもまた、師匠が創作されたものです。
「蕎麦」「雑司ヶ谷鬼子母神」「すすきみみずく」の三題噺のような噺です。
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この時は、豊島区区制施行80周年記念イベントとして、千早地域文化創造館で稽古をしている「千早亭」「要亭」「千川亭」の3グループが一日ずっと落語会を開催しました。
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そんなこともあって、豊島区のご当地ネタが良かろうということで、雑司ヶ谷鬼子母神を舞台にした、師匠の創作噺をやらせていただきました。
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雑司ヶ谷鬼子母神の祖師堂と、薄で作った「すすきみみずく」。
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高座の手拭いも、フクロウの柄にしました。
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師匠のこの噺は、雑司ヶ谷鬼子母神の参道にある蕎麦屋を舞台に展開される人情噺ですが、元々、古くから伝承されている民話がベースになっています。
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「すすきみみずく」は、江戸時代から雑司が谷に伝わる子供の玩具ですが、心やすらぐ民話伝承があります。
雑司が谷に「くめ」という親孝行な娘が住んでいましたが、家が貧しく、おかぁさんが働き過ぎがもとで病気になってしまいます。
薬も買うことのできない「くめ」は、優しいおかぁさんの病気が早く治るようにと、百度参りを始め、毎日毎日鬼子母神の御堂へと通ったのでした。
60日、95日…そして満願の日…、くめは、ついに疲れ果てて倒れ込んで眠ってしまいました。
すると鬼子母神の化身の美しい蝶があらわれ、「お前の気持ちはよくわかりました。この辺りはススキの多い処、そのススキでミミズクを作り御堂の前で売りなさい」と告げました。
くめがはっと目が覚めるとミミズクが木の上で鳴いていました。
家に帰ったくめは必死にすすきミミズクを作り、鬼子母神の御堂の前で売ると…、なんとすすきミミズクは飛ぶように売れ、おかあさんに薬が買えるようになり、おいしいものも食べさせてあげることができるようになりました。
おかあさんの病気もみるみるうちによくなり、幸せに暮らせるようになりました。
・・・というものです。
師匠の噺は、この「くめ」ちゃんと思しき女の子が、鬼子母神のお告げで、すすきみみずくを作って参道で売っていたら、心無い大人たちに邪魔されているところを、参道にある蕎麦屋の主と客が助けてあげるストーリーです。
民話を縦軸に、主人公に関わる蕎麦屋たちが横軸になって繰り広げられます。
親を思う気持ちと子どもに対する愛情を、鬼子母神を絡めて紡いで行きます。
大作ではありませんが、師匠の創作された名作の一つだと思います。

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