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2019年3月 1日 (金)

乱志十八番「吉原」三題

落語では、決して通り過ぎることが出来ないのが「吉原」。
乱志十八番「吉原」三題
私は今まで「廓噺」は意図的に避けていましたが、やはり逃げる訳には行かないと「明烏」にチャレンジしましたが、吉原が出て来る話はたくさんあります。
「明烏」は、日向屋の堅物の若旦那「時次郎」が、吉原の花魁の「浦里」に籠絡されます。
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「文七元結」は、左官の長兵衛の娘のお久が、大店の「佐野槌」に身を売ります。
「鰍沢」は、お熊はかつて吉原(熊蔵丸屋)の売れっ子(月の兎)の花魁でした。
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吉原遊廓は、江戸幕府によって公認された遊廓。
始めは
江戸日本橋近く(現在の日本橋人形町)にあり、明暦の大火後、浅草寺裏の日本堤に移転し、前者を元吉原、後者を新吉原と呼んだ。
元々は大御所・徳川家康の終焉の地、駿府(現在の静岡市葵区)城下にあった二丁町遊郭から一部が移されたのが始まり。


江戸幕府開設間もない1617年、日本橋葺屋町(現在の日本橋人形町)に遊廓が許可され、幕府公認の吉原遊廓が誕生した。
「吉原」の語源は遊廓の開拓者である庄司甚内の出身地が東海道の吉原宿出身であったためという説と、
の生い茂る低湿地を開拓して築かれたためという説がある(葦=悪しに通じるのを忌んで、吉と付けた)。
いずれにせよ、徳川家康の隠居地である駿府城城下に大御所家康公認の公娼があり、そこに七ヶ丁もの広大な面積を誇る遊郭があった。
吉原はその内の五ヶ丁を大御所家康亡き後駿府から移したのが始まりである(二丁町遊郭)。
庄司甚内へ5か条の許可の条件が示されたが、徳川幕府は遊興にふけり犯罪を犯すもの、浪人悪党の逮捕を考慮した。
明暦の大火(1657年)で日本橋の吉原遊廓も焼失。
幕府開設の頃とは比較にならないほど周囲の市街化が進んでいたことから、浅草田圃に移転を命じられた。
以前の日本橋の方を元吉原、浅草の方は正式には新吉原(略して吉原)と呼ぶ。
江戸城の北に当たるところから「北国(ほっこく)」または「北州(ほくしゅう)」の異名もある。
 
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周囲にお歯黒溝(どぶ)と呼ばれる大溝があり、新吉原初期の頃には幅5間(約9m)、江戸末期から明治初期には縮小され幅2間(約3.6m)、明治36年頃には3尺(約90cm)程の堀が巡らされ、出入口は正面を山谷堀沿い日本堤側のみと、外界から隔絶されていた。
遊女には花魁(おいらん)・新造・禿(かむろ)などの身分があり、店にも茶屋を通さないと上がれない格式ある総籬(そうまがき:大店)から、路地裏にある小店までの序列があった。

大店は社交場としての機能もあり、大名や文化人も集まるサロン的な役割を果たしたこともある。
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江戸前期の一流の遊女は和歌や茶道など教養を身に付けており、初めて上がった客と一緒に寝ることはなく、2度目の登楼で裏を返し、3度目で馴染みになり、ようやく枕を交わすことができるようになったという。
遊女や吉原風俗は浮世絵や黄表紙・洒落本等の題材にもなった。
吉原が女性を前借金で縛る人身売買の場所であったことは疑いもないが、文化の発信地という側面も持っていた。
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1765年、品川、板橋、千住の宿場町で飯盛女の規制がおこなわれ、各宿場が衰退し、あわせて、吉原の増員が許可された。
また、しばしば大火に見舞われた。
主な大火は1768年、1787年、1816年、1835年、1845年、1862年、1864年、1866年。
吉原が再建されるまでの間、浅草周辺などに仮宅が設けられることがあった。

明治以降、芸娼妓解放令が出され、1875年には遊女屋は「貸座敷」と名を変えたが、遊女は相変わらず「籠の鳥」であり、自由な外出もできず、人身売買の実態は江戸時代と同様、旧態依然の状態であった。
明治の吉原風俗は「ヰタ・セクスアリス」(森鴎外)や「たけくらべ」(樋口一葉)といった作品からも窺える。
特に一葉は吉原近くの竜泉に小間物屋を構えるなど当地との縁が深い。
1903年には、写真指名システムがはじまり(「写真見世」)、1916年には、張店が禁止された。
近代以降も1911年4月9日に大火が発生した(「吉原大火」)。
また、関東大震災、東京大空襲でもほぼ全焼し、多くの犠牲者を出したが、そのたびに不死鳥の如く復活した。
第二次世界大戦後、GHQの指令により公娼廃止となり、営業形態も民主化され、特殊飲食店街、いわゆる赤線となった。

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・・・「文七元結」で、長兵衛は50両の金を懐に、吉原(佐野槌)を出て、住まいの長屋のある本所の達磨横丁まで、こんなコースで歩いたはずです。

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