「ぞろぞろ」のイラスト
圓窓師匠に稽古をつけていただいている人は外せません。
https://www.youtube.com/watch?v=YkxM2Ia6t3Y
教育出版の小学4年生の国語の教科書に、師匠の「ぞろぞろ」が掲載されています。
ですから、学校の先生を中心に、他の連も含めて「ぞろぞろ」を稽古する人が多いです。
我々の落語っ子連でも、千公さんと蝶九さんの両先生がやっています。
参詣客がまばらな稲荷神社の門前。
茶店を営む老夫婦の生活は苦しく、店主の老爺は妻の老婆に「売り上げがないため、仕入れもままならず、商品はわずかな駄菓子と、天井に吊るしたまま長く売れ残ったワラジ1足だけだ」と不満をぶちまける。
老婆が「なにごとも信心だから、お稲荷様にお参りに行ってはどうですか」とすすめるので、店主は言うとおりに神社へ行き、茶店の繁盛を懸命に祈った。
店主が店に戻って間もなく、雨が降り出し、ひとりの参詣客が雨宿りにやって来る。
茶を飲み終え、店を出ようとした客が引き返し、「地面がぬかるんでいて、おろしたばかりの自分の履物を汚したくない」と言い、ワラジを買う。
老夫婦が「ご利益だろうか」と感じ入っていると、別の客が来て「ワラジをくれないか」と店主に注文する。
「申し訳ありませんが、たった今売り切れてしまいまして」「何を言っている。
そこに1足吊っているではないか」店主が振り返ると、売り切ったはずのワラジがあるので、店主は大きく驚く。
「客がワラジを買うたび、新しいワラジがぞろぞろと下りてくる。下りたら下りるだけ、ワラジが売れていく。やはりお稲荷様のご利益だ。わたしたちはこれで生活が楽になる」
茶店の向かいの床屋の主人は、かつての茶店同様に寂れている。
茶店が繁盛していくさまを見聞きし、うらやましがり、稲荷神社に参詣して祈りをささげる。 床屋が店に戻ると、店は客であふれかえっている。
床屋は「さっそくのご利益だ」と喜び、カミソリで客のひげを剃る。
するとたちまち、新しいひげがぞろぞろと生えてきた。
・・・個人的には、あんまり面白い噺とは思わないんですが。
(ここだけの内緒の話・・・。)
「お参りで御利益を求めてはいけませんよ。こうしてお参りできることを感謝する、それが本当のお参りですよ」と、茶屋のおばあさんは、お参りに御利益を求めるおじいさんをたしなめます。
求めない心が幸せを呼ぶというのが、圓窓師匠の「ぞろぞろ」だと思います。
「俺が、俺が」じゃないんですよね。
この点が、教科書に最適だということでしょうか?
この噺は、元々は上方のもの。
登場するお稲荷さんは、元は大阪の赤手拭神社だったようですが、舞台を江戸に移して太郎稲荷となっています。
この太郎稲荷は、樋口一葉の名作「たけくらべ」の中で、主人公の美登里が商売繁盛を願ってお参りした神社です。
この辺りは、学校では教えてくれないかもしれませんね。
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