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2019年2月25日 (月)

「天狗裁き」のイラスト

「どんな夢を見た?」と尋ねられても、夢を見たのは承知していても、内容は全く覚えていないなんて言うこともありますよ。
天狗裁きのイラスト
家で寝ていた八五郎が妻に揺り起こされる。
「お前さん、どんな夢を見ていたんだい?」
八五郎は何も思い出せないので「夢は見ていなかった」と答えるが、妻は納得せず、隠し事をしているのだと疑う。
「夢は見ていない」「見たけど言いたくないんだろう」と押し問答になり、夫婦喧嘩になってしまう。
長屋の隣人が夫婦喧嘩に割って入るが、経緯を聞いた隣人も夢の内容を知りたがる。
「そもそも夢は見ていないので話しようがない」と八五郎は言うが隣人は納得せず、またも押し問答から喧嘩になってしまう。
今度は長屋の大家が仲裁に入った。
大家もやはり八五郎の夢について知りたがる。
八五郎は「夢を見ていない」と弁解するが大家には信じてもらえず、「隠し事をするような奴はこの長屋から出て行け」と言われる

八五郎が立ち退き拒否したため、奉行所で詮議されることになる

奉行は八五郎に好意的だったが、やはり八五郎の夢に興味を持ち、見た夢を聞き出そうとする。
八五郎は「夢は見ていない」と答えるが奉行の怒りを買い、縛り上げられて奉行所の庭木に吊るされてしまう。
ff吊るされた八五郎が途方に暮れていると、突風が吹いて八五郎の体が宙に浮く。
気が付くと山奥にいて、目の前には大天狗が立っている。
奉行所の上空を飛翔中、理不尽な責苦を負わされている八五郎に気が付いたので、助け出したのだと大天狗は言う。
大天狗もまた八五郎の夢のことを聞きたがる。
「夢を見ていないので話しようがない」と八五郎は今まで同様に弁解するが、やはり信じてもらえない。
大天狗は怒り出し、八五郎の喉元につかみかかる。
首筋に大天狗の長い爪が食い込み、八五郎は苦しみ悶える。
気が付くと八五郎は家で寝ていて、妻に揺り起こされていた。
うなされていたようだ。
「お前さん、どんな夢を見ていたんだい?」

・・・この噺も、同じパターンを繰り返します。
展開は分かっちゃいるけど、笑っちゃうという噺。
噺としては、上方から江戸に移植されたものですが、さらに遡ると、長編の江戸落語「羽団扇」の前半が独立したもの。
ルーツは各地に残る天狗伝説ということでしょう。
「羽団扇」は、女房が亭主の初夢をしつこく尋ね、もめているところに天狗が登場して女房に加勢。
鞍馬山までひっさらっていき白状させようとする設定で、大家や奉行は登場しません。
後半は、亭主が墜落したところが七福神の宝船で、弁天さまに酒をご馳走になり、うたた寝して起こされたと思ったら今のは夢。
女房が吸いつけてくれた煙草を一服やりながらこれこれと夢を語ると、七福神全部そろっていたかと聞かれ、数えると一人(一福)足らない。
「ああ、あとの一福(=一服)は煙草で煙にしてしまった」
という他愛ないオチです。
落語には、「天狗」「河童」「うわばみ」などの、架空の生き物が出て来ます。
狸と狐が化けるのも、不思議な世界です。
でも、いずれもみんないい人・・じゃなくていい生き物です。

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