乱志十八番「男と女」三題
男と女が好いて好かれて結ばれる。
そのパターンにも色々あります。
ごくごく自然でハッピーなカップルもあれば、どろどろした因縁に巻き込まれる不幸なカップルもある。
「甲府い」は、「善吉とお花」。
甲州から出て来た善吉は、浅草の観音様にお参りをして、仲見世で財布を掏られてしまい、路頭に迷います。
あくる朝、空腹でフラフラになった善吉は、思わず豆腐屋の店頭にあったおからを食べてしまう・・・。
「法華豆腐」と言われる信心深い主の店で奉公をする。
ここには、一人娘のお花がいる。
主夫婦が善吉をお花の婿にという気持ちに先んじて、二人はお互いに好き合っているという、ハッピーエンドを絵に描いたような噺。
「文七元結」は、「文七とお久」。
博打にはまってみを持ち崩した父親のために、自ら吉原に身を売ったお久。
お久が身を売って作ってくれた大事な大事な金を、吾妻橋で掛け取りの金を掏られたと思い込んで身投げをしようとしていた文七に恵んでやる父親。
文七の勘違いで金が出て来て、恵んでもらった金の出所も分かって、やれやれ・・・と言うのが本題。
この後、文七とお久が夫婦になるという後日譚、文七が独立して元結屋を開き繁盛したという、ハッピーエンドな噺。
そして、「怪談牡丹燈籠」は、「新三郎とお露」。
山本志丈に連れて行かれた飯島平左衛門の下屋敷(別荘)で出会った、萩原新三郎と飯島の娘お露。
お互いに一目惚れをして、恋煩い。
そんな2人に降りかかる、親の因縁。
2人の純粋でひたむきな恋は、この世では成就することが出来ず。
この世では結ばれないまま死んでしまう。
お露と新三郎の純愛物語は、この世ではハッピーエンドとはなりませんでした。
落語は庶民が主人公の演芸ですから、基本的にはハッピーエンドですが、圓朝の怪談や人情噺は、冷酷無残な結末のものも多くあります。
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