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2019年2月17日 (日)

「芝浜」のイラスト

「お金が欲しいなぁ、宝くじ当たらせないかなぁ」と、宝くじも買わずに夢見ているのですが。
芝浜のイラスト
そりゃあ、50両も入った財布を拾ったら舞い上がりますよ。
今の価値で言えば、数百万円ということになりますか。
「芝浜」という噺は、「夢になるといけない」と言いながら、夢のような噺です。
天秤棒一本で行商(棒手振り)をしている魚屋の勝は、腕はいいものの酒好きで、仕事でも飲みすぎて失敗が続き、裏長屋の貧乏暮らし。
その日も女房に朝早く叩き起こされ、嫌々ながら芝の魚市場(魚河岸)に仕入れに向かう。
しかし、時間が早過ぎたため市場はまだ開いていない。
誰もいない美しい夜明けの浜辺で顔を洗い、煙管を吹かしているうち、足元の海中に沈んだ革の財布を見つける。
拾って開けると、中には目をむくような大金。
有頂天になって自宅に飛んで帰り、さっそく飲み仲間を集めて大酒を呑む。
翌日、二日酔いで起き出した勝に女房、こんなに呑んで支払いをどうする気かとおかんむり。
勝は拾った財布の金のことを訴えるが、女房は、そんなものは知らない、お前さんが金欲しさのあまりに酔ったまぎれの夢に見たんだろと言う。
焦った勝は家中を引っ繰り返して財布を探すが、どこにも無い。
彼は愕然として、ついに財布の件を夢と諦める。
つくづく身の上を考えなおした勝は、これじゃいけねえと一念発起、断酒して死にもの狂いに働きはじめる。
懸命に働いた末、三年後には表通りにいっぱしの店を構えることが出来、生活も安定し、身代も増えた。
そしてその年の大晦日の晩のこと。
勝は妻に対して献身をねぎらい、頭を下げる。
すると女房は、三年前の財布の件について告白をはじめ、真相を勝に話した。
あの日、勝から拾った大金を見せられた妻は困惑した。
十両盗めば首が飛ぶといわれた当時、横領が露見すれば死刑だ。
長屋の大家と相談した結果、大家は財布を拾得物として役所に届け、妻は勝の泥酔に乗じて「財布なぞ最初から拾ってない」と言いくるめる事にした。
時が経っても落とし主が現れなかったため、役所から拾い主の勝に財布の金が下げ渡された。
事実を知り、例の財布を見せられた勝はしかし妻を責めることはなく、道を踏み外しそうになった自分を真人間へと立直らせてくれた妻の機転に強く感謝する。
妻は懸命に頑張ってきた夫をねぎらい、久し振りに酒でもと勧める。
はじめは拒んだ勝だったが、やがておずおずと杯を手にする。
「うん、そうだな、じゃあ、呑むとするか」といったんは杯を口元に運ぶが、ふいに杯を置く。「よそう。また夢になるといけねえ」

・・・本当に泣かせる噺です。
この噺のおかみさんも、良妻、女房の鑑と言えるかもしれません。
なんだかんだ言っても、女房がいないと駄目だというのは、男は分かっているんですよね。
宝くじ、買った方がいいですかねぇ。
それにつけても、山手線の新駅の名前が「芝浜」にならなくて良かった。

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