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2019年2月26日 (火)

女性の落語について

今度の土曜日(3月2日)に、市川市の曽谷公民館にお邪魔して「そや寄席」を開催します。
おかげさまで、今回が3回目になります。
館長さんから、季節柄、雛祭りの噺、あるいはテーマにして・・というリクエストを頂戴しました。
第1回目は8月だったので「怪談」、第2回目は「節分」だったので、今回は「お雛さま」ということです。
ところが、残念なことに「雛祭り」「雛人形」の噺が見当たりません。
「道具屋」には首の抜ける雛人形、「雛鍔」はお雛様の刀の鍔と、ちょっと出て来る噺はあるのですが・・・。
一方で、端午の節句に関わる噺は、「五月幟」「人形買い」など、いくつか思いつく噺があります。
・・・どうしてだろう。
まず考えたのは、落語が男が男の目で見て男が作り男が演じるものだからかなぁと。
そんなことが、落語っ子連の稽古で話題になりました。
すると、先日、蝶九さんから、こんなメールがありました。
gg
ちょっと調べてみたんですが、雛人形の買い物は、お父っつぁんではなく、母親が赤ん坊や女の子と一緒に買いにいっていたようです。
江戸名所図絵に出ている十軒雛市を見ても、お客は女の人と女の子が多いです。
(男が中心の)落語にならないわけですね、
お父っつぁんは一緒に行かないから、様子がわからないわけです。
五月人形の市は時期がずれていますから、そっちがお父っつぁん担当だったんでしょう。

・・・なるほど、そういうこともあったんですね。
だから、落語のテーマにはなりづらかったということか。
蝶九さんが、その後でこんなコメントをしてくれました。
gg
もしも落語にするなら、雛人形を買うおっかさんと娘ですね。
初天神の母子版、みたいにできそうですね。
「あれ買って〜」
「あれは看板だから、売りませんよねぇ」
「お嬢様お目が高い!」
「お内裏様だけって言っただろ」
「五人囃子も買って〜〜」とか?

・・・このコメントを効いて、思わず「そこだ!」と思いました。
話は少し変わりますが、最近は、女性のプロの噺家さんが増えて来ました。
また、アマチュアの世界では、女性の勢いが物凄い。
師匠は、女性プロが増えて来たんだから、女性にしか出来ない噺をやってもらいたいが、なかなか・・・と仰って、自作の「救いの腕」をおやりになりました。
この噺は、主人公は女性で、噺の半分以上が、主人公と主人公の姉との会話になっていて、亭主の愚痴が語られます。
師匠は、ある女性作家の短編を元に創作されたということでしたが、まさに、女性にやってもらいたいと思っていたようです。
ところが、古典落語をそのままやったり、登場人物を女性に変えたり、元々は男の論理で出来上がっている噺なのに表面のストーリーだけを追いかけたりするばかりなのが、物足りないとおっしゃっていた気がします。
落語は、男が・男の目で・男を描き・男が演じるものです。
女性の落語は、女が・女の目で・女を描き・女が演じるものであるべきだと。
全く道灌・・じゃなくて同感で、女性に安易に「紺屋高尾」や「お見立て」や「厩火事」などをやって欲しくないと思います。
蝶九さんに、ただ男の子を女の子にするだけでは・・と返すと。
gg
だから、「初天神」を単純に女の子にするんじゃなくて、(例えば)「雛市」っていう、全く別の噺にするんです。
(その噺には)「凧買って」も、団子も出て来ないでしょう。
根本のシチュエーションを変えれば、普遍的な噺にできると思う。
そして、おっ母さんならば、結局買わないで帰って来る、っていう噺にもなりそう。
男と女は違うから。
copyをやっていても、限界もあるし、聴きたくないから。

・・・その通りだと思います。
別に、初天神の翻案でなくても、五月人形を雛人形に変えるのではなく、オリジナルな女性の視点からの噺が必要だと思うのです。
そうですね。
古典の、面白さも残しつつ。

・・・蝶九さんに、自作自演して欲しいなぁ。

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