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2019年1月 9日 (水)

師匠の創作噺

師匠は、「五百噺」にチャレンジし、28年を費やして見事完遂されました。
500題の噺にチャレンジと言ったものの、現実には、実際に演じられている噺の数は、到底500にならなかったそうです。
そこで、民話や法話や文学などを参考にして、ご自身で多くの噺を創作されました。
創作(新作)と言っても、様々な時代やカテゴリーがあります。
師匠の創作噺は、基本的には江戸時代から明治までの、所謂古典落語の舞台になっている頃が舞台になっています。
例えば、明治文学を翻案する場合には、噺の舞台を江戸時代の下町に設定したり。
従って、古典落語の雰囲気に溢れるものがほとんどです。
ちょっと思い立って、どれぐらい作られたんだろうと、高座本のリストを検索してみました。
ただし、古典も含めて、師匠が編集や手直しを済ませて高座本化されているのが、合計約400弱ですから、これよりもさらにストックされている噺があります。
昨年4月現在で、創作噺をピックアップしました。
落語「位牌屋」師匠の「揺れるとき」の初演
演目と、その噺のキーワードを添えました。
◆は、私が持ちネタにしている噺です。
 1.秋の夕暮れ   新古今和歌集・西行・寂蓮
 2.石一つ(白鷺の東庵)   杉村顕道・医者・幽霊
 3.ういろう売り   芝居・ういろう・口上
 4.浦島老人     浦島太郎 鶴亀。養老の滝
 5.江戸の商人 胸の肉    ベニスの商人・金貸し
 6.押し絵になった男       乱歩・覗きからくり・浅草
 7.お富の貞操   芥川龍之介・幕末・女中
 8.おはぎ(ぼた餅)大好き   民話・肥後・姑。嫁・蛙
 9.親子蕎麦     蕎麦・棒手振り・芝居・口上
10.壁に耳あり     寄席・前座・太鼓・初高座
11.雷門の招き猫  民話・浅草・茶店・餅
12.からくり料理   食物・小噺・口上
13.枯木屋         怪奇・昔話・桜・犬
14.鬼子母神 藪中の蕎麦◆  雑司が谷鬼子母神・ミミズク

15.九品院 蕎麦食い地蔵    伝説・蕎麦・九品院
16.鍬盗人        泥棒・狂歌・田舎者
17.高座の徳利◆  寄席・席亭・芸人・酒
18.虚空蔵鰻      民話・虚空蔵・日野宮権現・鰻
19.小粒相撲      講釈・相撲・越後
20.来ぬ人を       百人一首・定家・恋煩い
21.小判十一両   人情・太宰治・小判・長屋
22.五百羅漢◆   人情・羅漢寺・迷子
三流亭流三
23.金蔵寺 蕎麦閻魔   禅宗・閻魔・蕎麦・千住
24.山茶花さいた  二口剛・老夫婦・山茶花・息子
25.坐禅の遊び   狂言・浮気・身代わり・坐禅
26.鹿の巻筆      鹿野武左衛門・江戸噺家
27.閑かさや        俳句・立石寺・隠居。芭蕉
28.写経猿         乙宝寺・今昔物語・猿・写経
29.将棋の遊び    廓・花魁・幇間
30.人呑鬼         怪奇・地獄・鬼・閻魔・野球

31.救いの腕◆    向島・花見・姉妹・夫婦
kk
32.節分鍋         節分・鍋・河豚・借金
33.銭垂れ馬       民話・馬・博打・銭
34.セロ弾きのゴーシュ   宮沢賢治・音楽・動物
35.澤蔵司 蕎麦稲荷    慈眼院・稲荷
36.戯れ地蔵      民話・石の地蔵・閻魔・老夫婦
37.父帰る          人情・菊池寛・戯曲・家族
38.チャンコの恩返し   人情・相撲・一本刀土俵入り
39.丁半指南       安藤鶴夫・桂三木助・佃島
40.通夜の蕎麦     怪奇・杉村顕道・植木屋
41.東海道狂歌    蜀山人・松平不昧公・東海道
42.どん尻の葉っぱ  オーヘンリー・坪内逍遥・黙阿弥
43.猫に小判       棒手振り・魚屋・念仏
44.野田の宿帳     西行・和歌・野田村
45.萩褒め          和歌・与太郎・萩
46.袋田の滝       西行・和歌・四季・光圀
47.奉加帳           芝居・勧進帳・酒・近藤勇 
48.法要猫           曹洞宗・法蔵寺・小川村
49.仏相撲           民話・相撲・長者
50.法螺の種        狂言・隠居・嘘
51.三井の貸し傘◆   人情・越後屋・若旦那
流三
52.みんな違って   文学・人情・金子みすゞ
53.指相撲          相撲・稲妻雷五郎・横綱
54.熊野(ゆや)の母   謡・熊野・若旦那・道楽
55.揺れるとき◆   三遊亭円朝・安政地震・寄席
kk
56.羅宇の仲人     狂歌・紫檀楼古木
57.留守番小坊主    狂言・小坊主・饅頭
58.吾輩は坊ちゃんである  夏目漱石・松山・東京
59.草鞋の裏        杉村顕道・草鞋・庄内・学問

       ・・・凄いですね、約60席です! 
やってみたい噺もたくさんあります。
古典と違って、大勢の人の手によって練り上げられていないので、自分で演出したり工夫を入れる必要があります。
「救いの腕」の時も、「揺れるとき」も、「五百羅漢」でも、稽古をしながら、師匠とストーリーを変えたりもしながら、私なりに作って来ました。
語り継いで行って、もしかするといつかポピュラーな噺になるかもしれません。

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