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2019年1月18日 (金)

「地震」が出てくる噺

阪神淡路大震災から24年経ちました。
昨年は、豪雪、地震、集中豪雨、河川決壊、洪水、土砂崩れ、竜巻、台風・・・と、日本は数多くの自然災害に襲われました。
ところが、落語には、あまり自然災害が出て来ない気がします。
「地震」「台風」「洪水」「噴火」・・・。
決して江戸に関係ないことはないはずです。
特に地震や大雨(洪水)はあったし、例えば、富士山の噴火だって影響はあったはずなのに。
「地震」が出てくる噺
災害で唯一多くあるのは「火事」です。
「厩火事」「さんま火事」「鼠穴」「富久」「味噌蔵」「二番煎じ」など。
さすがに"江戸の華"と言われた火事だけに、名作ばかりです。
それでもと思い「地震」を探すと、いくつか小噺を見つけました。
【地震加藤】
清八という男、主人の子供の我儘に腹を立てて殴ったばかりに主家をしくじる。
強情で詫びに行こうともしないので、隠居が地震加藤の話をする。
「昔、加藤清正は、小西行長や石田三成に妬まれ、中傷されて太閤から勘気を蒙った。しかし、清正はじっと我慢し、桃山の大地震の時に真っ先に太閤のもとへ駆けつけて勘当を解かれたそうだ」
これを聞いた清八は、その日から地震や火事を捜し回り、自分の家の前で火事があると、一里も離れた主家へ駆けつけ、「清正が桃山の地震の時に」と一人で騒ぐ。
旦那がこれは「地震加藤」の話だと分かり、その心掛けが嬉しいと勘当を許してくれた。
「その代わり、わしが死んでも、倅の代までも勤めてやっておくれ」
「旦那を太閤さんと思うくらいですから、ワンパク(関白)の代まで勤めます」

・・・これは二代目桂文之助の作だそうです。
【地震茶漬け】
夜中に両親が"はげんで"いると、子供が目を覚まして、
「おっかあ、箪笥の把手が鳴ってるが、何だい」
「いや……その……地震だよ」とごまかした。
翌朝、食事をしているところへ、子供が目を覚まして障子を開け
「あっ、夕べの地震が茶漬食ってる」

・・・これは上方ネタのようです。
東京では「飯を食ってる」というオチで「地震」と呼ばれます。
何を「はげんでいる」のかは、私にはよく分かりません。
「地震」が出てくる噺
【地震と雷】
地震と雷がお茶屋で散財。
一階の地震と、二階の雷が、それぞれ相手がやかましいので、相手の部屋を覗き込んだりしていたが、偶然顔を会わせてしまった。
「そこにいやるは、落ちゃるじゃないか」
「揺らしゃるか」

・・・「落ちゃるか」とも言われるようです。
これは、芝居を知らないと分からない。
忠臣蔵の七段目の名台詞。
「そこにいやるは、お軽じゃないか」
「由良さんか」  のパロディということです。
【地震と夫婦】
「おかみさん、夕べはひどい地震だったね」
「そんな言い方ないでしょ」

・・・1773(安永3)年「坐笑産」の「いきすぎ」。
かみさん、夕べ激しかったコトをひやかされたと思った。
また良く意味が分からない。
・・・師匠の創作「揺れるとき」は、三遊亭圓朝と安政大地震ぎ出て来る長講です。
落語は江戸(時代)の庶民の平和な暮らしが舞台なんですね。
「その当座 昼も箪笥の 環が鳴り」っていう川柳がありました。
あぁぁ、俺は短命だ。

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