落語「芋俵」
この噺も「さんぼう」で、そのうちの「どろぼう」の範疇。
またまた泥棒の噺です。別名を「芋泥」。
二人の盗賊が、とある大店に盗みに入る相談をしていた。
「どうだい、ここは芋俵を使ってやろうじゃねえか。」
「どうすんだ。」
「なあに、芋を入れるんじゃねえ。芋の代わりに人を入れて、その店へかついでいくんだ。」「ほう。」
「で、何か忘れ物でもしたとか言って『少々、ご面倒様ですが、この芋俵預かっちゃあくれませんか。後で取りに参りますんで。』とかいうんだよ。」
「それで」
「そうして、わざと芋俵を家に置いておく。夜になってもまさか外に置いとくわけにもいかね
え。家ン中にしまう。で、みんなが寝入った頃を見はらかって、俵から出てきた奴が閂
をはずして、おいらが入るって寸法さ。どうでえ。」
「・・・なるほどオ。こいつあうめえこと考えやがったなあ。・・・だが、それじゃあ、俵に入るのがいるなあ。」
「そうさなあ。・・」
そこで、二人は与太郎を仲間に引き入れ、俵の中に入れてしまう。
計画通りに俵を家の中に入れたまではよかったが、あろうまいことか、店の小僧が、俵を逆さまに置いてしまう。
与太郎「・・・あれ。こまったなあ。上得逆さまだあ。動けねえ。おいおい。何とかしてくれ。」とこぼしている内、とうとう夜が来て店がしまう。
そこへさっきの小僧と下女が「晩飯食べそこねてて腹がすいちゃったねえ。」
「あ、昼間預かっていた芋俵がある。」
「そうだ。一つや二つ食べたってかまやしねえだろう。」と、俵の中に手を入れてきた。
「何だか生温かいねえ。焼き芋かもしれねえ。」
「ちょいと、何だか柔らかいよ。腐ってるんじゃないだろうねえ。」
たまらないのは与太郎で。
「おい。そう、お尻を撫ぜ廻さないでおくれ・・・あ、手が股ぐらに入ってきやがった、あはは、くすぐったくていけねえ・・・・」
と我慢しようと力んだはずみに放屁。
「ああ、気の早いお芋だ。」
・・・泥棒と与太郎の黄金の組合せです。
「転失気」もそうですが、この手の(尾籠な)噺は受けますね。
柳亭市馬さんなど、かなりよくお演りになるはずです。
泥棒のアイデアとしては、悪くはなかったんですが、俵の中に入ったのが与太郎だったのが、失敗の一因でもあるでしょう。
知能犯も、スタッフが揃わないと・・。
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