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2019年1月14日 (月)

落語「一分茶番」

与太郎と並ぶ落語国の人気者、大店に奉公する田舎者の飯炊きの権助が登場します。
権助が主役のこの噺は、「権助芝居」とも「権助茶番」とも「一分芝居」とも言われています。 
   落語「一分茶番」
町内の芝居好きが集まって素人芝居をすることになったのだが役に当たった者の一人が
病気を理由に欠席してしまう。
実は病気というのは真っ赤な嘘で、当たった役が気に入らないのでやりたくないのだ。
世話役の番頭さんは困り顔。
すると、この店に奉公している飯炊きの権助が芝居の真似事をよくしているというので権助に尋ねてみると、村芝居ではよく役者として舞台に出ることがある(代表的な役は忠臣蔵のお軽)というので、一分の小遣いをやるという約束で舞台にあげることにする。
権助の役は「有職鎌倉山」の「非人の権平」という泥棒の役で、主家を牛耳ろうとする悪人の命令で家宝の鏡を宝蔵より盗み出すのだが、警備の侍に見つかってしまい立ち回りの挙句に捕縛される。
そして、尋問に口を割ろうとするところへ件の悪人が現れて首を刎ねるという体のいい口封じをされてしまうという散々な物。
権助も何だかんだ言って逃れようとするが、そこは何とかなだめすかして幕を開けることにする。
舞台に出てきたときに鏡を盗んだことを説明する長い台詞を言わなければならないのだが、もちろん覚えている暇などないので、黒子をつけて乗り切ることにした。
が、権助は教えた台詞を間違えたり田舎言葉丸出しで言ったり、挙句の果てに野次った
観客に文句言ったりする始末。
さらには立ち回りの場面で本気で取っ組み合いを始めてしまったりとハプニング続出。
ようやく尋問の場面になるのだが、ここでも観客に「権助、縛られて無様な格好だな」と野次られて、「そんなことはねえだ」と種明かしをして踊り出してしまい、頭にきた相手役が今度は本当に高手小手に縛ってしまう。
そして尋問、「誰に頼まれた」
「番頭さんに一分で頼まれた」

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2009(平成21)年11月の、創部50周年記念OBOB落語会で、談亭志ん志師匠が熱演されました。 
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この噺の中で権助が演じた芝居「有職鎌倉山」の概略を見ます。
鶴が岡八幡宮の源実朝の御前で鶴を射止めた佐野源左衛門は、その功を三浦荒次郎に譲り、その代償として佐野の系図を返して貰おうと願った。
しかし意地の悪い三浦は、その約束を履行しない上、建長寺の法会においては源左衛門
だけには供物の分配もせず、かえってさんざんに罵り辱しめた。
佐野は船橋の本領安堵を期するため何事も堪忍していたが、系図がなければ願いは叶わ
ず、怒りのあまりついに三浦を営中に刺し、自分も切腹する。
権助の役は「有職鎌倉山」の「非人の権平」という泥棒の役で、主家を牛耳ろうとする
悪人の命令で家宝の鏡を宝蔵より盗み出すのだが、警備の侍に見つかってしまい立ち回
りの挙句に捕縛される。
そして、尋問に口を割ろうとするところへ件の悪人が現れて首を刎ねるという体のいい
口封じをされてしまうという散々な物。
芝居の前半で演じられ、誰も見ていないような時間帯で演じられる。
・・・芝居噺というのは、やはり芝居の素養がないと出来ません。
そもそも、芝居自体にあまり馴染みがありませんから。
忠臣蔵をベースにした「四段目」「七段目」「中村仲蔵」「淀五郎」など、私にはハードルの高い噺です。
しかし、アマチュアでも、平気でやっちゃう人がいて・・・、上手けりゃいいのに・・・なんて言うのが多いこと。

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