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2019年1月14日 (月)

思いを伝える

市原悦子さんについて、こんな記事がありました。
思いを伝える
「お母ちゃん女優」「庶民派」とも呼ばれ、親近感のわく立ち位置が愛される理由だった。
ただ、一見すると自然そのものの演技も、実際にはすべて「作品の中でどう生きるか?」を常に考え、計算し尽くされたもの。
そこには高校時代の「演技を一生の仕事にしたい」との決意が脈々と流れていた。
作家の安部公房氏に「彼女なら『こんにちは』もおそらく百通り以上の使い分けをしてみせる」と言わせ、演出家の浅利慶太さんからは「戦後新劇が生んだ最高の女優」と絶賛された市原さん。
演技に対する天性の勘の持ち主であると同時に、芝居への真摯な向き合い方が一流への道を歩ませた。

・・・一方、生前のテレビのインタビューでは、「演じるのが楽しいんじゃなくて、思いを伝えたいんです」と仰っていました。
生意気ですが、わたしにもよく分かる気がします。
落語をやっていても、特にアマチュアでは、前者で終わっている人がほとんどだと思います。
そうじゃない。
「演者の思いを伝えること」だと思います。
落語には、舞台や大道具や小道具もなく、衣装もなく、思いを伝えるのは、座布団の上の上半身と語りだけです。
「私はこう思いますが、(貴方は)いかがですか?」・・・。
演じるというのは、全てこの語りかけのための作業なのかもしれません。
「文七元結」で、「子別れ」で、いや「牛ほめ」で、「子ほめ」で、演者が聴き手に何を伝えるのか?
一言の台詞、一つの所作を組み合わせて、紡ぎながら、作り上げ上げて行くと言うことですね。

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