寄席芸人伝
やっぱり面白い。
さほど厚くないので、すぐに読み終えました。
古谷三敏さんの、ほのぼのとした絵が、人情たっぷりのストーリーと相俟って、落語を知らない人でも楽しめると思います。
これは、雑誌の特別付録ですが、コミックとして復刻もされているようです。
「寄席芸人伝」はビッグコミックに連載されていた、寄席や噺家等芸人を主人公にした一話完結の漫画。
修行の辛さや師弟愛、芸の精進等を中心としてストレートな話が綴られている。
各エピソードは実際にあった話を元に構成されている。
例えば、古今亭志ん生が関東大震災の時に酒屋に行って酒をたらふく飲んだ事や橘家
圓喬が夏場に「鰍沢」を演じて、お客がぞくっとして襟を合わせた事等が名前は違えど、紹介されている。
今回のこの別冊にも、「これは、黒門町の(八代目)桂文楽師匠が元になっている」という作品が、最初に登場しています。
寸分違わぬ、練り上げて極限まで削がれた語り・・・。
文庫化された最終巻8巻のあとがきで、林家木久扇師匠(当時は木久蔵)が、以下のようなコメントをされているそうです。
一部を紹介してみます。
(前略)
古谷三敏氏の労作「寄席芸人伝」は落語と言う伝統芸と、それを演じる個性の強い落語家への愛情あふれる応援歌である。
めまぐるしく進化してゆくインターネットの時代に、差別用語に始まる言葉狩りや、高級マンション、高層ビル、ハイテク生活に囲まれて、ますますマイナーになっていく落語と言う芸の行く末は不安で、其の中に「寄席芸人伝」はポット点った灯のように、やわらかで暖かく、読み手にやすらぎを与えてくれて、又、私達落語家のゆく道の道標にもなぞらえて、なさそうで、ありそうな世界をくりひろげてゆく。
(中略)
作品は簡素な人物の線と、淡々としたストーリーの展開に、師弟愛、青春、不遇、貧乏、修行、成功と言った味付けが、読む物を飽きさせない。
また、古き良き日本人、東京に住む人々の原型が作品の中に息づいていて、
そうだった、そんなふうだったと確認しては頷かせる。
特に私達落語家にとっては真っ直ぐな目で芸人を讃えてくれる有り難さを作者の意図に感じられて、
寄席芸人伝の作品群に何とお礼を言っていいのか判らない。
・・・古谷三敏は、ご健在です。(確か82歳ぐらい)
「寄席芸人伝」のほかにも、「ダメおやじ」、「ぐうたらママ」、「減点パパ」などという、これまた面白い人気シリーズがあります。
昭和ですね。
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