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2019年1月27日 (日)

落語DEデート

落語っ子連の稽古に行く道で、ラジオを聴きながら。
この前の「落語のデンパ」という番組は、どうもあまり聴く気になれません。
その代わり、「落語DEデート」では、落語が2席聴かれるようになり、大歓迎。
◇「くず湯」  五代目古今亭今輔
落語DEデート
【五代目 古今亭今輔】(1898年 - 1976年)
群馬県佐波郡境町(現伊勢崎市)出身。
生前俗にいう「お婆さん落語」で売り出し「お婆さんの今輔」と呼ばれた。
1973年   第24回NHK放送文化賞受賞。4月29日、勲四等瑞宝章受章。
1974年   六代目春風亭柳橋の後任で日本芸術協会二代目会長就任。

落語DEデート
お婆ちゃんは、孫の幸次が引越しをし、室内はごった返しているが、早く会いたい一心。
1週間もすれば整理整頓が出来るでしょうから、お婆ちゃんをその時行かせることになった。
前の晩は、うれしくて子供が遠足に行く晩のように、ソワソワして落ち着かなかった。
ところが、お婆さんが家に帰って来たが疲れた様子。
玄関で座り込んでため息付いて、這って部屋に入った。
足袋も脱がず、帯も解かず、布団に入った。
心配する息子夫婦。
幸次には言っておいたんだ、「家のお婆ちゃんは、無口で、世話好きで、親切で、『イヤ』と言ったことが無いんだ。七十を過ぎているから、消化のイイ物、中華、洋食はダメで、肉料理もダメだ。
間食も大福や練り羊羹は重すぎるので、『くず湯』位が適当だと思う。
お風呂も好きだが毎日では嫁さんが大変だから、腰湯で結構。
『塩湯』か『芥子(からし)湯』にしてくれれば、身体が温まるから良いだろう。と伝えたんだが・・・」。
それではお婆ちゃんの部屋に行ってきます。
「気分は如何ですか? 起こしましょうか」
「触らないでください」
「疲れた様子ですが、引越しの手伝いしたんですか」
「いいえ。孫嫁の花子さんが親切で・・・。何も私に聞かないでくださいよ」。
「では、幸次に聞きます」
「孫嫁が幸次さんに小言を言われますから、聞かないで・・・。約束しましたよ」。
「朝、貴方に送ってもらって、家に入ると二人が出て来て歓待してくれました。幸次が出勤すると、花子さんが両手を着いて『私は学校を出たばかりで、世間の常識が分かりません。気が付かないことがあったらお教え下さい』。何んて優しい嫁なんだろうと感心しました。『お父様にお聞きしましたら、大変くず湯がお好きなようで、準備しましたので、こちらにどうぞ』。お茶をいただく茶室は知っておりますが、くず湯を食べるための部屋があるのかと付いて行くと、そこはお風呂場」
「タイル張りの良い風呂場でしょ。道中の疲れを流してさっぱりしてから、くず湯を出すんですかね」
「私もそう思いましたよ。花子さんが湯船の蓋を取って、『本場のくずを取り寄せましたので、どうぞごゆっくりと・・・』。私は丼や湯飲みでいただいたことはありますが、その中に浸かるなんて・・・。お前だってありますか?」
「僕だってありません。どうしました」
「花子さんが親切で点ててくれたのを、嫌がったら花子さんに恥を掻かせますので、入りました」
「どんな気持ちでした?」
「布海苔の樽に落ちたようなもんです。ヌルヌルして、ナメクジとナメクジの間に裸で座ったような心もちでした。直ぐ出ようと思いましたら『お婆さんのために点てたくず湯ですから、どうぞ、ごゆっくり・・・』と、2時間入っていました」
「真水のお湯だって1時間入っていたら湯のぼせしますよ」、「出たらクラクラして、上がり湯がないのでタオルで拭いたら、糊がヌルヌルして拭ききれません。仕方が無いので浴衣を着たら肌にべっとり張り付いて、歩くことも出来なくなって、花子さんに連れられやっと座敷に行きましたら、『茹で蛸のようだ』と言って大きな扇風機を掛けてくれました。糊が乾いたらギブスに入ったようになって、話をしてもバリバリと糊が剥がれ、手を動かしてもバリバリ、まるで新聞紙の布団に寝ているようでした」。
「翌朝、花子さんに、くず湯は贅沢ですから1日で結構。真水のお湯に入れてもらえると思ったら、『本日はお婆さんの大好物、芥子湯に致しました』」
「腰湯だって温まるのに、入らなかったでしょね」
「だって、花子さんが作ってくれた芥子湯、入りましたよ」
「どんな感じでしたか?」
「足の裏からチクチクして、身体中に木綿針を刺されたようで、その時ばかりは直ぐ出ましたが、花子さんが『昨日はうっかりしまして、お背中をお流ししませんで・・・』と、身体中に芥子が付いているところに新しいヘチマでゴシゴシ、ワサビ下ろしで擦られているような思いでした。命ばかりはお助けと、逃げ出しました。外に出ると風に当たって身体中ヒリヒリ、電車に乗って吊革につかまってもヒリヒリ。出て来るのは芥子でなく、涙ばかり」
「ガマンすることないでしょう。孫の所に行ったんですから。芥子湯はそんなに長く入っていなかったでしょうね」
「このお風呂ばかりは、長く入っていられませんよ。昔の人の例え通り、これが本当のトホホホ、カラス(芥子)の行水でしょう」。

◇「節分」  八代目春風亭柳枝
落語DEデート
圓窓師匠の最初のお師匠さんです。
入門直後にお亡くなりになり、圓窓師匠は圓生師匠門下に移られました。
【八代目春風亭柳枝】
1921年      高等小学校卒業後四代目春風亭柳枝に入門、枝女太。
1922年5月、同名で二つ目に昇進。
1923年1月、睦ノ太郎と改名。
1925年 4月、八代目春風亭柏枝で真打昇進。
1932年     春風亭小柳枝を襲名するはずが、断念させられる。
1934年11月、柳亭芝楽に改名。
1943年3月、八代目春風亭柳枝を襲名。
1959年9月23日、ラジオ公開録音で『お血脈』を口演中に脳出血で倒れ、10月8日死去。
なんとか凌いで新年を迎えたが、すぐに節分が来てまた借金取りたちがやって来ることになる。
女房「お前さんどうすんだよ。また借金取りが来るよ」
亭主「今さらジタバタしたって仕方ねえや。また借金取りの好きな事をやって追い返そうじゃねえか」
女房「またやるのかい。そんなに二番煎じが効くもんじゃないよ」
すると芝居好きの酒屋の番頭が役者気取りで科を作ってやって来た。
番頭「ええ~、ごめんくださいなすてぇ」
亭主「近ぅ~、近ぅ~・・・」
番頭が「へへぇ~」と、近づいて来ると、睨みをきかせて、「行けぇ~」と一声。
番頭は「はっ、ははは~っ」と、帰ってしまって大成功。
隣家に魚屋の金さんが入るのを見て、
亭主「おい、魚金の好きな物はなんだ?」
女房「端唄に凝っているらしいよ。それと酒だよ」
亭主「端唄なんて洒落たものはだめだ。よし、番茶を薄めて徳利に入れて持ってこい」魚金が入って来ると酔ったふりをして、「♪福は~内~」
魚金「おお、嬉しいじゃねえか。借金取りに来たのに福は内てえのは」
亭主から酒を勧められ番茶酒を飲んで渋い顔。
亭主「すまねえが少し待ってくれ、近えうちにケリつけて必ず返(けえ)すから。”官女(勘定)、官女(勘定)をとおり(取り)、とおり・・・金取りだ金取りだ、外で怒鳴ってまたかし(貸)ょとりに、庭は一つ心は二つ三ツ又の、借りは世間に有明の、月の八日はお薬師さまよ、ほかに祈るは関の地蔵さま、ほんにあらゆる神様を小町を持って通ったが、念が届いてありがたく、一夜あくればまた気も変わる。春風になるまでまた待つ(松)尽くしと願います」
魚金「恐(おっそ)ろしく端唄並べやがったな。”かねてより口説き上手とわしゃ知りながら、おめえのうちに来る良さは、柳、柳で受け流し、秋の夜までじゃ長過ぎりゃ、むっとして帰れば角の青柳で、貸したもんを我が物ぶられたしにゃあ腹も竜田川”、じゃねえか」
亭主「へえ、何しろ去年の暮れから今年にかけ、すべてのしょしきは高砂やこの浦舟に帆が立たねえ始末、下妻の申しますには、わしが国さは越後の角兵衛獅子、ござれござれと申しますから、ひとまず国へ立ち帰り、辛抱、高台寺、朝顔から夕暮れまで稼ぎまして、ほうぼう様の借金を、梅が枝の手水鉢、叩いてお金が出た時にゃ、梅にも春といたします。待つ(松)は唐崎と願います」
魚金「えれえ、端唄尽くしで言い訳か、気に入った待ってやろう」と、
帰ろうとする魚金を引き留めて亭主は酒をおごってくれとせがむと、魚金は女房を三河屋へ買いに行かせ、ついでに店からフグを持って来るように頼んだ。
本当の酒が来て、フグ鍋を煮ながら酒を飲み始めた二人、
亭主「ありがてえな、”酒飲めばいつか心も春めいて借金取り(鳥)もうぐいすの声”てえ気分だ。よお、金さん得意の端唄やってくれよ」
魚金「今日は節分だから酒尽くしで厄払いの真似事をやろう。”あ~ら、飲みたいな、飲みたいな。飲みたき今宵のご祝儀に、酒尽くしにて払いましょ。一夜明くれば屠蘇(とそ)の酒、百薬の養老酒には高砂の上に群がる沢の鶴、下には亀の万年酒、老いも若いも若緑、気性は東自慢の男山、飲めや滝水年頭の、足もひょろひょろお目出度く、帰りが遅く長つんめ、ご新造さんが菊正の胸に一物剣菱や、わたしが甘いみりん故、福娘でも甘酒か、本に悋気の角樽や、堪忍しておくれはよい上戸、冷でないから案じます、白鹿心の角も取れ、丸く収まる丸腰の寿命を保つ保命酒や、金婚まさに相済んで、君、萬歳のその習い、いかなる洋酒のウイスキー、電気ブランが飛んで出て、妨げなんとする時に、この白鷹がひと掴み、西の海とは思えども、酒尽くしのことなれば、新川新堀へさら~り、さら~り”」
亭主「ありがとう、目出度いね。おお、フグが煮えたから口開けな、”フグは~口~”」
と、フグを魚金の口に放り込んだ。
魚金「おいおい、乱暴なことするなよ」
亭主「”骨は~外~”」

・・・掛け取りは、年末だけではないということですね。
まぁ、当たり前の話ですが。

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