落語会出演者の役目
落語会は、数名の演者が入れ替わりで高座を勤めます。
寄席の場合は、その数はもっと多くなりますが。
「落語会は個人ではなくチームで作るもの」だと思います。
確かに、高座で演じるのは1人ずつですが、会としての価値(評価)は、1人の演じた噺の善し悪しだけではなく、会全体がどうであったかだと言うことです。
今回の「お江戸あおば亭」で、さらにその意を強くしました。
物凄く上手くはまりました。
落語会は、全てではありませんが、順番には特定の呼び方がついています。
◆開口一番
最初に演じられる物または芸人
会場(観客)の緊張をほぐし、盛り上げる役目
前座が勤めることが多く、プログラムに載らない場合もある
◆(二番目)
真打(二つ目)が登場し演じる(ここから正式に開演になる)
(名前はあるのか知りませんが)前座から受けて会を巡航速度
に持ち上げる役目
◆中入り前
中入り前(前半)最後に演じられる物または芸人
落研などアマの間では「中トリ」と言われることがあるが、
プロ(寄席)では言わない
中入り前(前半)を締めくくるので、主任の次に重い役目
◆食い付き
中入り後最初に演じられる物または芸人
中入りで緩んだ空気を整え、後半を盛り上げる役目
◆膝(代わり)
主任(トリ)の前に演じられる物または芸人
色物の場合も多く、主任(トリ)に繋ぐ重要な役目
◆主任(トリ)
締めくくり(最後)に演じられる物また芸人
文字通り興行の看板で、会の評価が決まる最重要の役目
・・・ということで、それぞれの役目をしっかり理解して、全体の流れを作って行くことで、落語会が円滑に進みます(盛り上がります)。
例えば、誰かが「俺が、オレが」で、その場は受けさせたとしても、それぞれの役目を果たさなければ、会全体がぶち壊しになってしまいます。
アマの落語会を見ていると、そういうことは意識せずに、じゃんけんやくじで出演順を決めていることが多いようですが、アマだからこそ、これを意識する必要があると思います。
出演順が決まってから演目を決めるのがベストかもしれませんが、なかなか難しいなら、演目を決める際に、ある程度意識したり、相談したりすることが大切だと思います。
落語会というのは、駅伝みたいなものかもしれません。
少なくとも、マラソンや徒競走ではない。
人間国宝の小三治師匠だから、独演会のトリで「千早振る」でも受け入れられますが、普通は、それぞれの役目の場所に相応しい演目と言うのは、ある程度あるはずです。
それに、”噺がつく”ということもいくらかは意識すると、番組(出演順・演目)を決めるのは、とても重要だと言うことです。
「お江戸あおば亭」は、レギュラーは誰でもトリを取る力量がありますから、噺のバラエティに注力します。
落語っ子連では、メンバーの力量が上がって来ましたので、これからどしどしトリにチャレンジしてもらおうと思います。
こういう役目を理解していれば、それぞれの役目の重さ、求められているものが分かりますから。
これも、落語の上達のための大切なプロセスだと思います。
話は全く変わりますが、「紅白歌合戦」で、「白組のトリ」「紅組のトリ」「大トリ」などと言っていますが、勝手に言っているだけで、「トリ」は、会に1人(1組)だけです。
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