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2018年6月14日 (木)

入船亭扇遊師匠のこと

pen評論家の広瀬和生さんが、入船亭扇遊師匠について解説されています。
昨年度の文部科学大臣賞を受賞したのは入船亭扇遊。
現在64歳、今年の11月で芸歴46年となる。
歯切れの良い口調と伸びやかな声が魅力の、上手くて陽気で爽やかな演者だ。
現在、東京の落語家で芸術選奨文部科学大臣賞の受賞者は扇遊以外に、柳家小三治(03年度)、立川志の輔(07年度)、柳家権太楼(11年度)、柳家さん喬(12年度)、五街道雲助(13年度)、春風亭小朝(14年度)の6人。
そのうち小朝以外の5人はその後、紫綬褒章を受章している。
つまり、ある意味この賞は「紫綬褒章への第一歩」でもある。
文化庁が扇遊を「権太楼、さん喬、雲助」に続く存在と認定したのは大きい。
正直「権太楼、さん喬、雲助」の位置に扇遊が肉薄しているイメージは希薄だろう(実際、芸歴も年齢も離れている)が、僕は08年の拙著「この落語家を聴け!」で扇遊をさん喬、権太楼に次ぐ扱いにしていたほど好きな演者だけに、「やるな、文化庁!」というところだ。
ちなみに芸術選奨は原則70歳未満が対象。
春風亭一朝が再来年12月に70歳になるので、その前にぜひ一朝に!と個人的には期待している。

   入船亭扇遊師匠のこと
受賞後初めて扇遊を観たのは4月22日「扇遊春の独演会」。
なかの芸能小劇場でオフィス10が催している「春のらくご長屋」なる企画の一環で、この日は同会場で扇遊の前に古今亭文菊、桂文治、入船亭扇辰が独演会をやっており、扇遊の後にも立川こしらの独演会が控えていた。
1席目、特に芸術選奨に触れることなく(白酒が度々「芸術選奨の内幕」を暴露して爆笑を誘ったのとは対照的だが、そこがまた扇遊らしい)、時代の移り変わりについてのマクラから医者の小咄を振って「崇徳院」へ。
リズミカルにトントンと進んで噺へ引き込む扇遊の「崇徳院」の魅力は志ん朝に通じるものがある。
仲入り後は「教わった噺をただ素直に演っていた前座の頃が一番よかったかもしれない」と、前座時代に地方の仕事で演った「道具屋」がバカウケでトリの小三治を食ってしまったエピソードを披露して「井戸の茶碗」へ。
まさに「素直に演じれば噺の面白さは自然と伝わる」という扇遊のポリシーを体現したような出来。
とりたてて新鮮な演出はなくても語り口の魅力だけで古典落語は楽しく聴けることを証明した。
前座噺から人情噺の大ネタまで、肩の凝らない軽やかな芸風で楽しませる「程の良いオールラウンドプレイヤー」扇遊。
今回の芸術選奨受賞をきっかけに、その魅力が全国で広く認知されることになるだろう。

・・・ベタ褒めですね。
今まさに落語協会の大看板の権太楼・さん喬・雲助に続くというのは、私もそう思います。
柳家一門というか柳派は、本当に裾野が広く、柳家を名乗らなくても、入船亭、柳亭、鈴々舎・・が、それぞれ素晴らしい。
あ、立川も広義の柳派かもしれませんから。
扇遊師匠のテンポと派手さのない明るさが魅力だと思います。
師匠の扇橋師匠は、どちらかと言えば、甘いゆっくりとした口調でしたが、どこか彷彿とさせる所もある気がします。
何かの時に、扇橋師匠が俳句の宗匠でもあり、様々な世界の、多くの一流の人たちとの接点があり、その場に付き人的にいられたことで、文字では学べないことも吸収出来たと言うようなことを仰っていたと思いますが、扇橋師匠も物凄い師匠だったんですね。

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