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2018年5月16日 (水)

「一点張り」の危険

シェアハウス投資向け融資の不正を巡り、多くを融資した某地方銀行が、経営を揺るがしかねないほどの問題になっています。

この銀行は、投資トラブルを起こしているシェアハウスへの融資が総額で約2000億円、借り手は計1200人あまりに上るとの実態調査をまとめた。
女性専用シェアハウス以外にも、複数の事業者を経由し融資。
多くがトラブルを抱えているようだ。
この銀行の個人融資(住宅ローンを除く)の2割強に相当する大きな規模に膨らんでいた。
この銀行の説明によると、多くの行員が不正を認識した可能性があると謝罪したが、不正への関与は不明だとして、今後第三者委員会が調べる。
業績至上主義の下、ずさんな審査で融資した姿勢に批判が強まっており、監督する金融庁の厳しい処分は必至だ。
この銀行は、県2位の中堅地銀ながら、県内にとどまらず全国で個人向け融資を伸ばし、その経営手法は金融界で注目された。
その裏で、ノルマに追われた行員らによるリスク軽視の融資が続いていた。
行員らによると、県外の多くの店舗では、新規融資の目標額が1カ月ごとに設定され、達成度合いがボーナスや出世に響く。
さらに、目標未達成が続くと厳しく叱られ、営業部門から外されることもあるという。
ある元行員は、シェアハウス以外の中古1棟マンション投資向け融資でも不正を容認したと明かす。「物件を売りたい業者と買いたい顧客がそろい、あとは改ざんに目をつぶれば業績も伸びる。逆に不正を認めないとノルマも達成できないことは上司たちもわかっていたはずだ」と話す。

・・・記事を読んでいると、30年前の、あの狂乱のバブルの頃の記事だと勘違いしてしまうほど、前近代的な内容です。
業績至上主義の下、ずさんな審査での融資。
まだ、こんなバカなことをやっている銀行があるんだと・・・。
しかし、以前から、他行とは違ったユニークな経営をし、健全な内容の銀行だという評価が高かった銀行なのに、なぜ時計を戻すような愚行が行われていたのか・・・。
やはり、世の中にスーパーマンなどいないということです。
事業でも、スポーツでも、学業でも、周囲に比べて突出しているのは、やはり何か裏があるもの。
場合によっては、ルール違反やドーピングが行われるものです。
「身の丈」、適正規模の適正利潤というのは、どこか落ち着きどころがあるはずです。
それを、当局も、誉めていた訳ですから、まぁ、のどかな国です。
昔から、「一点張り」と言う言葉があります。
1.賭け事で同じ所だけに金銭をかけること。
2.他の事を顧みず、その事だけを押し通すこと。
企業の経営の一番の基本は、リスク分散だと思いますから、この異常な融資金額を見れば、今を予想できていたはず。
・・・ところで、気の毒なのは、この杜撰な仕組みに投資して被害に遭った方々ですが、それにしても脇が甘いという謗りも受けざるを得ないと思います。
そんなに上手い話があるはずがありません。

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