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2018年5月11日 (金)

「紺屋高尾」のこと

広瀬和生さんが、「紺屋高尾」について書かれています。
「紺屋高尾」のこと
広瀬氏の週刊ポスト連載「落語の目利き」より、古典落語『紺屋高尾』のバリエーションと、新しい演出について。
前回のこの欄で、『紺屋高尾』には圓生系と談志系の2系統があることを書いた。
『紺屋高尾』とほぼ同一のストーリーと言っていい『幾代餅』という落語がある。
搗米屋の職人が幾代太夫に恋をする噺で、古今亭志ん生が演じ、倅の十代目金原亭馬生や古今亭志ん朝が継承した。
今、寄席の世界では『紺屋高尾』より『幾代餅』のほうが優勢だ。
五街道雲助やその弟子の桃月庵白酒、志ん朝一門の古今亭志ん輔といった古今亭の演者のみならず、五代目小さん一門の柳家さん喬、柳家権太楼も『幾代餅』を演じている。
そんな中、柳家花緑や三遊亭遊雀は『紺屋高尾』を演じているが、これは立川談春の型を教わったもの、即ち談志系。
談春の他にも志の輔・志らく・生志といった優秀な弟子たちが継承しているため、今や『紺屋高尾』は談志系のほうが圓生系よりポピュラーかもしれない。
圓生系の『紺屋高尾』は三遊亭鳳楽や三遊亭兼好といった圓楽党の演者に受け継がれている他、落語協会では(燕路・こみち師弟以外では)三遊亭圓窓とその弟子の萬窓という圓生直系の演者が印象的。
「紺屋高尾」のこと
落語芸術協会では三遊亭栄馬が得意とし、高尾の「久蔵さまは紺屋の職人。わちきは藍に染まりんした」という台詞をサゲとして用いている。
談春・志らく・生志などが談志の『紺屋高尾』に独自の演出を施してそれぞれの色を強烈に出しているのに比べ、志の輔は比較的師匠に忠実な型だが、昨年11月に真打昇進した立川志の八(志の輔の二番弟子)は、エンディングを大きく変える演出を新たに生み出した。
3月15日、約束どおり久蔵の許を訪れた高尾に親方は「花魁、このままお引き取りください」と意外な一言。
「来てくださって、この野郎の男も立ちました。それで結構です。お前さんに職人の女房は無理だ」。
花魁は何もしなくていい、自分が働くからと食って掛かるも「それじゃ示しがつかねぇ」と言われて泣き崩れる久蔵。
それをじっと見ていた高尾、藍瓶に歩み寄るといきなり水の中に手を突っ込んだ。
高尾の決意を見た親方は「なんて人だ……久蔵、いいカミさんをもらったな! こんないい女を泣かせたら、ただ置かねぇぞ!」と一転。
「そんなことまでさせちまって……勘弁してください」と頭を下げる久蔵に高尾が「見て……これであちきは身も心もぬしへの藍に染まりました」と言ってサゲ。
高尾が来ただけで終わらず、そこからもう一つドラマを作ったところに、志の輔譲りの創作力を感じる。
見事な発想だ。

・・・やはり、『幾代餅』ではなくて『紺屋高尾』ですよ。
様々な工夫や演出があっても良いと思います。
広瀬さんが評価される噺家さんたちを聴いていないので、徒に言うことは出来ませんが、旧来のオチの部分を膨らませる手法は、オリジナルにオチを変える圓窓師匠もよく使いますが、今までのストーリーが薄められたり、冗長にならないようにしないといけないと思います。
語り継がれて完成されている噺の一部を変えたり、新しく加えたりするのは、かなり危険な場合もありますから。

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