「火事息子」の稽古2
「火事息子」の舞台は、神田三河町の質屋「伊勢屋」。
神田三河町は、現在の東京都千代田区内神田と神田司町付近および神田美土代町の一部にあたるようです。。
町名の由来は、徳川家康が入府した際に帯同した三河の下級武士がこの地に移り住んだことによるもので、江戸でもっとも古い町の一つです。
ということは、「お江戸あおば亭」の会場のある神田神保町はすぐ近くです。
さらにポイントになるのは、この質屋の蔵。
深川江戸資料館にある蔵を見ると、壁にフックのようなものが打ち込まれているのが分かります。
これが「折れ釘」です。
蔵は大切な品物を保管する建物で土蔵造りとよばれる、今で言う耐火建築物。
折れ釘は柱に打ち込まれた太い鉄製の釘で、重たい荷重に耐えられる様にできており、外壁補修時の足場架けや足掛け、板を掛けての暴風対策、樋の受け等色々な用途として使われます。
この噺の蔵の目塗りをする場面。
蔵さえあれば火事があっても安心・・ではありませんでした。
日頃の維持管理が重要で、壁土の崩れやひび割れ、鼠穴などをしっかり補修しておかなければ火は防げません。
また火事の際には扉を閉めただけでは不十分で、目塗りは必ずやらないといけません。
目塗りをする場所は、蔵の表の窓ということになります。
梯子をかけてのぼり、下から捏ねた土を玉にして投げ上げ、折れ釘につかまりながら土を塗る。
勘当されて臥煙になった若旦那が屋根の上を走って来る。
表通りから目塗りをしているのが見えれば、大切な質物を預けている人たちも安心するという訳です。
この場面の光景を描けるかどうか・・・。
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