江戸の夢
徒然に、独りで落語を視聴すると言うのが、私のオタッキーな趣味です。
師匠の「帯久」は、かなり若い頃の映像でした。
若いですねぇぇぇ!
確かに、髪を七三に分けていました。
「帯久」は、私の持ちネタで、師匠から、色々ご指導やアドバイスをいただきました。
そして、三遊亭圓生師匠の「江戸の夢」。
東海道丸子宿の庄屋の武兵衛は発句に熱中。
一人娘のてるは「奉公人の藤七を婿にして欲しい」と母親に泣いて頼んだ。
金比羅詣りのなりをした、氏素性をあかさないのを理由に、母親は藤七を婿にするのを反対したが、気立ては良く、良く働き品性が良いので、娘の意向を汲んで11月に祝言を挙げた。
藤七は、テルを可愛がり、親に孝行し、良く働いた。
家族にも回りにも信用が付いてきた。
夫婦で江戸見物を計画した両親は、青葉の頃に行きたいと藤七に明かした。
あるとき、突然いなくなって家族が心配している中、夜の10時過ぎに帰って来た藤七に、武兵衛は家を飛び出したのではないかと疑った自分に腹を立てて怒った。
話を聞くと遠くまでお茶の木を求めに行ってきたという。
日当たりの良いところに茶の木を植えて手を入れていた。
家庭も和やかだった。
江戸見物の前日。
藤七が、浅草寺に行くなら、浅草の並木にある奈良屋に寄って、茶の出来栄えを鑑定してもらってほしいと両親にお願いした。
若い二人には子供が出来たと両親に打ち明け喜ばれた。
両親は、馬喰町の宿に入って、毎日見物に出掛けたが、5日も過ぎると飽きてきたので、翌朝、浅草に寄って帰ることにした。
雷門を出て、武家屋敷に出入りしている大店の奈良屋に寄ると、しーんとしていて入口にツバメの巣があった。
主人の奈良屋宗味(そうみ)と対面出来た。
歳は六十二・三、宗匠頭巾に品のある姿であった。
持参した茶を見せると奥にと茶室に案内された。
藤七が造ったお茶で接待された。
この茶を製した婿殿の状況を聞かれたので、6年前の出会いから隠さずに今までの経緯を話した。
初孫が出来る事まで話し、酒は下戸で、飲まずに良く尽くしてくれると喜んだ。
宗味は「この茶は、将軍家に差し上げお褒めを頂いた、私と倅の2人しか知らない秘法です。しかし、奇しくも同じ6年前に・・・、死にました。気立てが良く、まめまめしく働き、機転は利くし、よい男でしたが、酒癖が悪くトラブルを起こし、人を殺める・・・、ことまであり、遠いところに行ってしまいました。久しぶりに飲むこのお茶。よくぞ、この秘法を会得なされたと宗味が喜んでいたと、婿殿にお伝え下さい」。
送られて表に出ると初夏のツバメがツ〜ッと飛び交っていた。
足早に歩く武兵衛。
「つばくらめ いくとせ続く 老舗かな」、お前さん発句どころではないですよ。
「あの人が藤七の親御さんだったんだね」、
「黙って歩け。何にも言うな。」と女房をせき立てて歩くが、まだ頭を下げて宗味が見送っていた。
「藤七の常日頃の行儀良さ、言葉使い・・・」、
「あの茶人の息子さんだったんですね・・・」。
「氏(宇治)は争えないものだ」。
・・・これは、宇野信夫原作の新作(創作)です。
東海道と駿河(丸子)とお茶が出て来ますから、いつかやってみたいものです。
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