役不足
「流れに棹さす」「情けは人のためならず」「話のさわり」・・・。
よく、意味を間違えて理解したり、使ったりすることがあります。
会社のある会議で、家族の弔事のため欠席した本来の責任者の代わりに登壇した人が、冒頭に「私では役不足ですが・・・」と言ってから始めました。
ん?「役不足」?
天邪鬼な私は、すぐに発言が終わってから、本人に指摘しました。
【役不足】[名・形動]
1 俳優などが割り当てられた役に不満を抱くこと。
2 力量に比べて、役目が不相応に軽いこと。また、そのさま。
本人は、「私には重い任務ですが・・」という謙遜のつもりだったのですが、これでは、「私の力量に対して任務が軽すぎる」ということですから。
・・・しかし、聴いていたほとんどの人が違和感を感じていなかったようで・・・。
文化庁が発表した「国語に関する世論調査」で、「彼には役不足の仕事だ」というのを、「本人の力量に対して役目が軽すぎること」と「本人の力量に対して役目が重すぎること」の、どちらの意味だと思うかを尋ねた結果です。
○本人の力量に対して役目が軽すぎること
(本来の意味)
平成14年度 平成18年度 平成24年度
27.6% 40.3% 41.6%
●本人の力量に対して役目が重すぎること
62.8% 50.3% 51.0%
「役」が「不足」しているのであるから、それを演じる人の力量に比べて「役」のほうが十分でないこと、つまり役目のほうが軽すぎることをいう。
しばしば「力不足」と混乱して「会長なんて私には役不足です」と使われることがあるが、反対の意味になってしまい、誤用になる。
◇流れに棹さす
流れに棹をさして水の勢いに乗るように、物事が思いどおりに進む
◇情けは人のためならず
人に親切にすれば、その相手のためになるだけでなく、やがてはよい報いとなって自分にもどってくる
◇話のさわり
広く芸能で、中心となる見どころ・聞きどころ
また、話や文章などで最も感動的、印象的な部分
・・・いやはや、日本語は難しい。
« 今日の富士山は・・・ | トップページ | 新名所? »