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2018年4月12日 (木)

役不足

「流れに棹さす」「情けは人のためならず」「話のさわり」・・・。
よく、意味を間違えて理解したり、使ったりすることがあります。
会社のある会議で、家族の弔事のため欠席した本来の責任者の代わりに登壇した人が、冒頭に「私では役不足ですが・・・」と言ってから始めました。
ん?「役不足」?
天邪鬼な私は、すぐに発言が終わってから、本人に指摘しました。
【役不足】[名・形動]
1 俳優などが割り当てられた役に不満を抱くこと。
2 力量に比べて、役目が不相応に軽いこと。また、そのさま。

本人は、「私には重い任務ですが・・」という謙遜のつもりだったのですが、これでは、「私の力量に対して任務が軽すぎる」ということですから。
・・・しかし、聴いていたほとんどの人が違和感を感じていなかったようで・・・。
文化庁が発表した「国語に関する世論調査」で、「彼には役不足の仕事だ」というのを、「本人の力量に対して役目が軽すぎること」と「本人の力量に対して役目が重すぎること」の、どちらの意味だと思うかを尋ねた結果です。
○本人の力量に対して役目が軽すぎること (本来の意味)
  平成14年度  平成18年度  平成24年度
    27.6%    40.3%    41.6%
●本人の力量に対して役目が重すぎること
    62.8%    50.3%    51.0%
「役」が「不足」しているのであるから、それを演じる人の力量に比べて「役」のほうが十分でないこと、つまり役目のほうが軽すぎることをいう。
しばしば「力不足」と混乱して「会長なんて私には役不足です」と使われることがあるが、反対の意味になってしまい、誤用になる。

◇流れに棹さす
流れに棹をさして水の勢いに乗るように、物事が思いどおりに進む
◇情けは人のためならず
人に親切にすれば、その相手のためになるだけでなく、やがてはよい報いとなって自分にもどってくる
◇話のさわり
広く芸能で、中心となる見どころ・聞きどころ
また、話や文章などで最も感動的、印象的な部分

・・・いやはや、日本語は難しい。

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