「長短」の感想
「長短」という噺は、恐らく10分程度のものだと思います。
師匠の高座本でも10ページ足らず。
だいたい1ページ1分程度だと思いますので、一部カットする部分と、仕草が入る分をプラス・マイナスしても、普通はそんなものでしょう。
発表会で、自分の自己紹介だとか、最近の出来事だとかをマクラで話す人が多くいます。
ご本人は、自分をアピールしたいのか、受けを狙っているのか・・、マクラのうちは調子よく話していて、いざ本題に入ると途端にペースダウン・・なんていう人も多くいます。
私は、マクラというのは、雑談ではなくて、あくまでも本題の導入や仕込みだと思いますから、ほとんど語ることはありません。
尤も、出前落語会で、会(連)の紹介などは語ることはあります。
特に「長短」のような短い噺は、プロの噺家さんは、時間稼ぎのために、長いマクラになります。
ユーチューブで聴いた先代の桂文治師匠など、東京落語会の映像で、30分のうち20分がマクラでした。
私の「長短」は、珍しくかなり早い段階で師匠の高座本から離れて、オリジナルを加えました。
ですから、稽古で通すと20分以上かかってしまうという・・・。
「杉は直ぐ、松は歪みて面白し、人の心も木なり奇異なり」を冒頭に語り、すぐに本題に入りました。
私の「長短」を聴いてくださった、さるご贔屓から感想のメールを頂戴しました。
今回の「長短」、すごい噺になりましたね。
人情噺ではないのに、客席が、水を打ったように静かになっていた時間があったんですよ。
それは、長さんの仕草の場面です。
みんな、固唾を呑んで見守っていたというのか・・・。
特に、煙管のところ。
短七つぁんがしびれを切らした瞬間に、笑いが爆発する。
完全に客席が、一体化していました。
こんな反応になる噺だとは、思いませんでした。
ただし、ほかの人は大笑いしていましたが、私は、饅頭をあんまりくちゃくちゃ音をさせるのは・・・?
何人か、永久さんが終わった瞬間に帰る人がいたので、お目当てにしているファンがいるんだなと思いました。
・・・そうなんです。
饅頭を食べるシーンを厚くしたので、ちょっとしつこくなるかと思ってはいました。
なるほど、次回からは気をつけて演りたいと思います。
前回の「試し酒」と今回の「長短」。
高座本に書いてある台詞以外に、仕草や表情を見せる噺で、間のもたせ方は難しいと思いましたが、ある程度はクリア出来たのかもしれません。
あれは、今まで表現したかった"間"だったと思います。
台詞でなく、仕草や表情あるいは空気で表現する無言の時間。
これが出来ると、人情噺の奥行がさらに深くなると思います。
暖かく、さりとて鋭いご指摘に感謝です。
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