嘘はほんと・・・
「嘘はほんと、ほんとは嘘、だけどほんとはほんと」・・・。
柳家さん喬師匠の「噺家の卵 煮ても焼いても」を拝読していて、まず印象に残ったフレーズです。
さん喬師匠の師匠の先代柳家小さん師匠のお教えだそうです。
このことが書いてある部分を引用させていただきます。
・・・(前略)謎かけ言葉みたいに聞こえるかも知れませんが、要するに、嘘のことはほんとのことのように演じろ、ほんとのことは嘘のように演じろ、だけど、ほんとのことはほんとなんだ、人間のほんとの心ってのは、ほんとなんだよ、ということです。
まるで禅問答のようですが、落語というのは、ほんとのことを、どうです!こうなんですよ!と情熱をもって演じたならば落語じゃない。
ふわっと肩すかしを食わせるような、そんなばかなって思わせるようにやるのが落語なんです。
逆に、そんなばかな、ってことを、そうかもしれない、ほんとかもしれない、と思わせるようにやるから面白い。
けれども、人間が恋をしたり、落ち込んだり、そういう人間の真心、ほんとのこころはないがしろにしちゃいけない、
ほんとのことはほんとなんだ、ということです。
この感覚、物凄くよくわかります。
だから、暗記したり、読んだりするのは落語じゃないんですね。
確かに、リアリズムが必要だからと言って、あんまり真に迫ってやっても、いかにもほんとのようにやってしまったら、
品がなくなることもあります。
逆に、蕎麦を手繰る仕草や音は、かなり大袈裟にやらないと、ほんとのように思われない。
さん喬師匠も、「品」ということばを使われています。
まだ前半の部分ですが、参考になる話がいっぱいです。
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