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2017年11月27日 (月)

「試し酒」のこと

ご来場くださったご贔屓の感想に、清蔵を酔わせたことにコメントされた方がいました。
「試し酒」のこと
何人かの師匠の「試し酒」を聴いていて、あまり清蔵を酔っ払わせていない感じはします。
圓窓師匠は、高座本の巻末で、この匙加減に触れています。
つまり、清蔵は、外に出て行って、まずは試しに5升飲んで来る訳ですから、少なくとも素面ではない。
昔、ある師匠は、それを踏まえた演出をすべきと言った。
少なくとも、目は酔っているようにと。
つまり、素面ではない演じ方です。
しかし、酔っているのが聴き手に知られると、この噺のストーリーが透けてしまってオチが台無しになってしまう。
その両方を実現して演じるのがプロ、名人だと。
リアリズムと落語の嘘のバランスです。
プロですら、酔っているところはあまり出さないのが主流のように思えます。
「試し酒」のこと
「試し酒」のこと
いわんや素人をしてをや・・・です。
やはり、この噺はオチが全てだから、その方が無難でしょう。
「試し酒」のこと
そんなことが頭の中にはあったので、私は、清蔵を全般的にハイテンションに演じようと思いました。
また、酒に強いというのと、酔うというのは別ですから、清蔵を酔わせてみようと思いました。
この賭けは、酔わないことではなくて、とにかく酒を5升飲み干すことですから、清蔵が酔った方がいい。
しかも、既に5升飲んでいるのだから、早いうちから酔ってもおかしくない。
ということで、熱演だとかいうコメントをいただいたのも、早めに酔ってハイテンションにさせたということでした。
「試し酒」のこと
これなら、オチまで気づかれることはなかろうと言う訳です。
この噺は、昭和になって作られた、言わば新作ですが、クラシカルなイメージでやるのが良いと思いました。

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