「超入門!落語THE MOVIE」のこと
産経ニュースで、NHKの番組「超入門!落語THE MOVIE」について触れた記事がありました。
落語家のしゃべりにあわせて出演者が“口パク”で演技、落語をドラマ仕立てで見せる演芸番組「超入門!落語THE MOVIE」(NHK総合、毎週木曜午後10時25分)が評判を呼んでいる。
「落語は、落語家のせりふだけで楽しむもの」という落語通の常識を破ったスタイルが、これまで落語になじみのなかった視聴者をひきつけているようだ。
そもそものきっかけは、教養バラエティー「たけしのこれがホントのニッポン芸能史」(NHKBSプレミアム)の落語をテーマとした平成27年10月放送の回。
知ったかぶりの商家の隠居と小僧が、見よう見まねでハチャメチャな茶の湯の会を開く落語「
茶の湯」を、口演した落語家から徹底的にディテールを聞き出して作り上げた口パク芝居が大きな評判を呼んだ。
NHKエンタープライズの大田純寛プロデューサーは、この放送を見て「落語家が頭の中に描いている映像を再現したら面白いのでは」と番組を着想したという。
時代劇の番組も減り、落語の舞台となる長屋がイメージできない若い人も多い。
「落語を聞くときの助けになれば」という期待もあった。
番組は話題を呼び、翌年には、2回の単発番組を経て10月から今年2月までレギュラーとして放送。
10月から再びレギュラー放送が行われている。
落語家たちはこの番組をどう見ているのか。
「お客さんに好きなように想像してもらうのが落語の強みであり魅力です。この番組はそれを消してしまう。落語家としては邪道だと思う。でも…」と話すのは、番組で「六尺棒」など3席を披露した落語家の三遊亭兼好。
「誰もが知っている役者さんが演じていて、非常にうまくできている。落語は難しい、と敬遠していた人を惹きつけるにはとてもいい。番組をきっかけに来たお客さんが、落語本来の魅力に気づいてもらえれば」と期待を寄せる。
落語家の「間」の取り方に合わせて演じる出演者は大変で、撮り直しの連続で収録が朝から深夜に及ぶことも。
しかし、ぼうっとした旦那としっかり者のおかみさんの掛け合いで笑わせる「熊の皮」(16日放送予定)に出演したフットボールアワー・岩尾望は、「大勢のスタッフや出演者が朝から晩までかかってやることを1人でやってのける。落語家のすごさがわかる」と感嘆。
落語の面白さを再認識する出演者も多いという。
大田プロデューサーも「落語でこういうことをしてはいけない、との厳しい意見もあるが、子供と一緒に喜んで見ています、という意見が多く寄せられています」と、視聴者の声に手応えを感じている。
「超入門」のタイトル通り「落語の入り口」が番組のスタンスだ。番組の案内人を務める濱田岳の決めぜりふに「次はぜひ寄席に足を運んでみてください」とあるように、落語は生で楽しむのが“王道”。
大田プロデューサーらの「多くの人に生の落語を見てほしい」との願いは視聴者に届くか。
・・・私は、敢えてやはり邪道だと言いたいと思います。
この番組を視聴する前は、とても楽しみにしていました。
落語を聴くだけでなく、演ずることもある者として、あくまでも参考ではあるものの、江戸時代の様子や、様々な大道具小道具をビジュアルに確認出来ると思ったからです。
ところが、視聴して落胆・幻滅しました。
それはまず、期待していた舞台設定や大道具小道具が全く臨場感がないことでした。
横丁が物凄く広かったり、長屋も立派で綺麗だったり、さらにセットがあまりにも安っぽかったり・・・。
極め付きは、「お見立て」の山谷の墓の酷さ、「初天神」のバックの鳥居がお稲荷さんの千本鳥居のようだったり、「南瓜屋」で売り歩く江戸の下町が山間だったり・・・。
こんな物を見せたら、完全なミスリードになります。
もし、ビジュアルの入門編として放映するなら、是非ディステールにも気を配って欲しいと思います。
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