柳家小三治師匠語録
名人上手の域に達している人の言葉と言うのは、ある部分常識を超えたところもありますが、凡人は、それを凡人なりに理解して、参考にさせてもらうということでしょう。
◆私にとっては寄席に来るお客さん1人1人が私の審査員で、
皆さんが喜んでくださることがいちばんうれしいことです。
審査員・・・か。
「仙台だと、寄席もないから、普段落語を聴く機会も少ないだろうが、仕草なんかはどうやって覚えるんだい?」
「全日本学生落語名人位決定戦」の時、審査員だった五代目柳家小さん師匠に尋ねられたのを思い出します。
そう、落語は、聴いてくださる方の頭の中に、どんな像が作られるかということですから、お客さま次第ということになるのでしょう。
◆落語にとって笑わせるってのはおまけ。
◆無理矢理笑わせるような落語をしなくても、人の暮らしが
面白いんだからそのまま話せばいい。
「そもそも落語は、練りに練られているんだから、普通にやればお客さまは笑ってくださる。それを変に変えてしまうからつまらなくなるんだ」なんて、よく言われます。
他の人の稽古を聴いていて、そう思うことがしばしばあります。
・・・ところで、五代目古今亭志ん生師匠が、息子さんの志ん朝師匠から尋ねられた語録に、こんなのがあるそうです。
◆「お父ちゃん、落語を面白くするにはどうしたらいいんだい?」
「そりゃおまえ、面白くしないことだ」
こうなるともう禅問答みたいです。
これを聞いて、恐らく志ん朝師匠の頭の中には、ピンと閃くものがあったのではと思います。
親子二代の名人ですから。
それから、この親子で忘れてはいけないのは、先代の金原亭馬生師匠です。
◆なんでもいいんだよ。でも、どうでもいいんじゃないよ。
・・・って、馬生師匠らしい、肩に力の入らない、でもとても含みのある言葉です。
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