神鹿も・・・
昔から、江戸・京都・大坂・奈良の名物を読んだ歌なんといぅのがあります。
「武士、鰹、大名小路、生鰯、茶店、紫、火消、錦絵」
「水、壬生菜、女、羽二重、御簾屋針、寺に、織屋に、人形、焼物」
「橋に船、お城、芝居に、米相場、総嫁、揚屋に、石屋、植木屋」
「大仏に、鹿の巻筆、霰酒、春日灯篭、町の早起き」
「鹿政談」のマクラで必ずと言っていいほど語られます。
奈良の鹿は、神様の使い、神鹿です。
奈良公園など奈良市内に生息する鹿は、「奈良のシカ」として昭和32年に国の天然記念物に指定され保護されてきましたが、数が増え過ぎて、郊外では農作物の被害が深刻になっています。
このため、奈良県は国の許可を得たうえで、先月から奈良市郊外の6か所に罠を仕掛けて鹿の捕獲を始めていました。
罠の1か所に鹿1頭が入っているのを、猟友会
のメンバーが見つけ捕獲したそうです。
「奈良のシカ」が捕獲されたのは、国の天然記念物に指定されて以来初めてで、奈良県は今年度、120頭を上限に捕獲する計画だそうです。
しかし、「奈良のシカ」の捕獲をめぐっては、例によって、自然保護団体から畑への侵入を防ぐ柵などで対応すべきだと反対する意見も出されているそうです。
奈良、三条横町の豆腐屋の六兵衛さん。
今朝も暗いうちから起きまして、臼を挽きまして、絞った絞りかすのキラズ(おから)の桶を表へ出して、二番目の臼をゴ~ロ ゴ~ロと挽ぃてると、ドサッと音がした。
六兵衛さんがヒョッィと見てみると、キラズの桶をひっくり返して、犬がムシャムシャ食べている。
朝っぱらから商売物を食われるのはゲンが悪い。
「シイッ! コラッ!」と追い払おうとしたが動かないので、傍らにあった薪をつかんで投げつけると、ドサッと倒れたっきりジッとして動かなくなった。
「え?あんなことぐらいで」と出て見ると、犬ではなく鹿だった。
ビックリして介抱したが、もう息が止まってしまっている。
「嬶ぁ、えらいことした」
「何がいな?」
「鹿を殺してしもたがな」
「何やてあんた、奈良に住んでて鹿を殺すやなんて・・・」
「犬じゃと思たんや、鹿とは思わなんだじゃが、息が止まってる。どぉしょ~?」。
律義な夫婦で、まだ寝ている人の家の前へ持って行って知らん顔なんてことはしない。
二人揃ってオドオドしながら、「どぉしょ~、どぉしょ~」と言ってるうちに、朝の早い奈良の町、一軒二軒と起き出した。
さぁ、「豆腐屋の表で鹿が死んでる」、町中大騒ぎ。
・・・世が世であれば、大変なことになっていた訳です。
しかし、奈良だけではなく、全国各地で、鹿などの動物の被害が続出しています。
新東名高速道路でも、「鹿出没注意」の標識が立てられています。
動物保護団体という方々も色々仰いますが、やはり、ある程度の対策は必要だと思います。
やはりこれは、キラズに帰しましょう。