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2017年7月16日 (日)

浜野矩随のオチ

懐かしい。
師匠に稽古していただけるようになって2年ほど経った頃。

学生時代に一番得意だった「浜野矩随」は、師匠の兄弟子の五代目三遊亭圓楽師匠の十八番で、私も音源そのままにやっていました。
落研の創部50周年OB落語会が企画されたので、私もエントリーし、「浜野矩随」をネタ出ししました。
そこで、師匠にこの噺の稽古をお願いしました。
何回、師匠の前で稽古したでしょう。
師匠も、ご自身の持ちネタではありませんでしたが、圓楽師匠の個性(癖)が出る演出や台詞を治してくださいました。
地語りの語り方、場面転換のやり方・・・。
この噺、圓楽師匠はオチはつけず、こう語ります。
「"怠らで 行かば千里の 果ても見ん 牛の歩みの よし遅くとも"・・寛政の年度、親子二代に渡って名人と言われた"浜野"の一席でございます」。
圓窓師匠から、「この噺は元々講釈から来ているから、圓楽さんもオチをつけずにやっていたが、うちの師匠(圓生師匠)は、オチがあるから落語なんだと言っていた。あたしもそう思うから、オチを考えようよ」と。
考えました。
師匠にも助言してもらい、2パターンを考えました。
その中で、今使っているのをご紹介します。
「若狭屋さん、おかげさまで、近頃では、江戸や上方ばかりでなく、津軽や南部のお殿様からもご注文をいただけるようになりました。ありがたいことでございます」
「大したもんだ。矩随さん、お前さんはね、もうとっくに"仙台(先代)"を越えたんだよ」
・・・人情噺にもオチをつけました。
あのOB落語会の後、師匠に報告したところ、「当日の音源を聴かせて欲しい」「折角こんなに頑張ったんだから、少し短くして、落語っ子連の発表会でやったら」と言っていただきました。
その後、それぞれご贔屓からの要望もあって、「お江戸あおば亭」と「深川三流亭」、それから「行徳落語会」でもやらせていただいています。
そうそう、落語っ子連の発表会の時と「深川三流亭」の時、師匠から「この噺は、あたしの兄弟子の圓楽さんが得意にしてやってましたが、流三さんの方が圓楽さんより上手いよ」と、講評してくださいました。
そう言えば、50周年の時に聴いてくださった方で、「あの噺をもう一度聴きたい」と言ってくださる方が何人かいらっしゃるそうです。
とても良い噺ですから。

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