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2017年7月16日 (日)

薮入りのオチ

私にとって、「浜野矩随」が、学生時代一番の噺ですが、一方で最も悔いが残る噺が「薮入り」なんです。
打ち上げ
噺に罪があるのではなく、大失態をやらかした噺だからです。
それも、4年生最後の「追い出し発表会」のトリで。
オチの直前の、熊さんが亀ちゃんを殴る場面。
「ぶん殴ってやる」という台詞が出て来ず、噛んで口ごもってしまったんです。
恐らく、奢りから来る稽古不足、卒業・就職直前で舞い上がっていたんでしょう。
楽しい落研の思い出が、最後の最後で台無しになりました。
それから何十年、「薮入り」は、ネズミが出るのに、私の中では「トラ・ウマ」でした。
そのリベンジをしようとしたのは、奇しくも落語っ子連第一次の最後の発表会でした。
この時も師匠は、「この噺は、"薮入り"もそうだが、"ネズミの懸賞"だの"忠"だの、現代では分からないから、オチを変えたほうがいい」とのご指示。
結局、ネズミの懸賞は出さず、亀ちゃんが捨て子だったこと、15円入りの財布を拾ったことにして、「大切なものは、自分で持っていなくちゃいけない」という、師匠の高座本のオチでやりました。
ストーリーはともかく、オチがまだすっきり腹に落ちていませんから、これからもオリジナルを作る研究をしたいと思います。
この噺、落語っ子連の発表会でリベンジし、その後「お江戸あおば亭」でも再演して、学生時代の借りを返しました。
この噺と、「浜野矩随」と「ねずみ」と「花色木綿」と「甲府ぃ」と「子ほめ」は、特に私の胸に残る噺です。
あ、ところで、偶然ですが、今日は「薮入り」ですね。

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