人として・・・
世の中には様々なルールがあります。
これらは、今までの経験などに基いて、人の安全や安心のために決められています。
ですから、基本的にはしっかり守らなくては、安全や安心を担保することは出来ません。
また、責任を限定する上からも、これらルールというものが不可欠であることも確かです。
そんな中で、大岡越前守が激怒するような出来事がありました。
格安航空会社(LCC)のバニラ・エアを利用した車椅子の男性が、奄美空港で搭乗する際に、「階段昇降をできない人は搭乗できない」と説明され、階段式のタラップを腕の力だけで、這うようにして上らされていたことが分かりました。
えっ?どういうこと?
この男性は、高校時代にラグビーの練習中に背骨が折れて下半身不随となったそうです。
知人と奄美大島を旅行。
関西国際空港での搭乗時、「奄美空港ではタラップを使って降りることになる。階段を上れない人は乗れない」と説明された。
「同行者の手伝いで乗降する」と話して搭乗し、奄美空港では知人が車椅子ごと担いで降りたという。
ところが、復路、奄美から関空行き航空機に搭乗する際に、応対した空港職員から「車椅子を担いで降りるのは(バニラ・エアでは)違反だった」と言われた。
往路同様、知人がを車椅子ごと持ち上げてタラップを上ろうとすると制止されたため、男性は車椅子を降りてタラップを1段ずつ這うように、2〜3分かけて上った。
男性は、「歩けない人は乗れないというなら、高齢者や赤ちゃんも駄目なのか。職員が自分たちのルールがおかしいと思っていないことに驚いた」と振り返る。
「自分のような不幸な出来事が起きてほしくない」と大阪府や国土交通省に相談。
バニラ・エアの担当者からは「不快にさせて申し訳ない」と謝罪があり、今後の対応について説明を受けた。
男性は「改善されたことはよかった。乗れないのが一番困ることで、行動する機会を奪われたくない」と話している。
・・・"会社が決めた規則を忠実に守った"この航空会社のスタッフは、この男性が手の力だけで、一生懸命にタラップを上る姿を、人として、どんな気持ちで見ていたんでしょうか?
車椅子ごと担いだり、利用者の体を抱えて上り下りしたりすることは「足元が危険」として規則で認めていなかった。
足元が危険なことぐらいは分かりますよ。
それは、ご本人たちが一番承知していることです。
そんな姿を見ても、あなた方は何も感じなかったんですか?
情でなく、理屈でも言わせてもらいます。
飛行機と言うのは、"人を乗せてなんぼ"の商売です。
暴力を振るったり、危険な物を持ち込んだりする人ならともかく、物理的に入口から入れないような巨大な体躯の人ならともかく(そんな人いませんよ)、看板を掲げている以上、乗せなくてはならない義務があるはずです。
「自力で歩けない車椅子のお客さまから事前に連絡があった際には搭乗をお断りしていた。・・・」・・乗るなということですね。
それならば、免許を返上すべきでしょう。
因みに、他の航空会社では、障害がある乗客がタラップを上り下りする際、係員に同行させて対応しているそうですが、・・・当たり前ですよ。
大岡越前守様なら、どんなお裁きをしたでしょう。
きっと、「帯久」のようなお裁きを下したことでしょう。
しかし、皮肉なことに、こういうバカ者の多い世の中ですから、落語が廃れないという面もあるのかもしれません。
だとすると、ちょっと悲しい。