学士会落語会会報「まくら」
学士会落語会の会報「まくら(第41号)」が配信されました。
今号に、一文を投稿させていただきました。
◆「窓門」10年、そして・・・◆
学生時代のように落語が演りたい。
寄席や落語会にはいつでも行ける、落語関連の書籍や音源も容易に手に入れられる。
しかし、本格的に落語を演ずる機会もなく、教えてもらえる人もいないと迷っていた10年、三遊亭圓窓師匠に大学の落研時代の持ちネタの「子ほめ」を聴いていただく機会に恵まれ、その場で師匠から強く勧められて、師匠が社会人を指南している素人連の中で最も古い「落語っ子連」に参加し「三流亭流三(りゅうざ)」という高座名を頂きました。
以来、師匠の落語への深い愛情と筋金入りの姿勢に心酔し、人情噺を中心に稽古をつけていただいた演目が35席になりました。
私は、この間の師匠の数々のご指導の中で、重要な点を「師匠の五戒」と名づけました。
一..落語には品がなくてはいけない
落語は語りも佇まいにも"品"が必要で、笑いを取るため
だけの下品な演出やエログロ、
着物の裾や胸元の乱れは品がない。
二.落語は活字で覚えちゃいけない
高座本の丸暗記ではなく、噺全体の流れを掴んで、頭の
中の自分の言葉で表現する。
三.落語には必ずオチ(下げ)を付ける
オチがあるから"落語"、だから人情噺でも怪談でもオチ
が要る。
四.落語のオチや台詞は最後(語尾)まで登場人物になりきる
登場人物の会話は、語尾まではっきり。
五.地語りでは、語尾を「・・でございます」とは言わない
会話の台詞なら使う場面はあるが、現在は普通の会話で
「ございます」とは言わない。
この「五戒」を意識して、持ちネタ50席を目指して稽古に励んでいます。
師匠は常々、「落語の伝承には、プロもアマもない」と仰っています。
そして、「これからは、いろんな意味で意識の高いアマの出現を望んでいる」とも。
それはプロの質があまりにも落ちているからという、師匠の危機感から来るものです。
ならば、僭越ながら私が、その「意識の高いアマ」を目指し、伝統話芸を語り継ぐ一翼を担うのが、「窓門」で10年育てていただいた者の使命であるような気がしています。
(師匠と)
≪師匠に稽古をつけていただいた噺≫
1.子ほめ 2.千早振る 3.花色木綿 4.三方一両損 5. 花筏
6.浜野矩随 7.薮入り 8.帯久 9.三味線栗毛 10.抜け雀
11.笠と赤
い風車 12.厩火事 13.ねずみ 14.佃祭
15.鬼子母神・藪中の蕎麦 16.救いの腕 17.
揺れるとき
18.五百羅漢 19.蒟蒻問答 20.鰍沢 21.甲府ぃ 22.猫怪談
23.高座の徳利 24.明烏 25.怪談牡丹燈籠(お露と新三郎)
26.あたま山 27.湯屋番 28.一人酒盛 29.
寿限無
30.雷月日 31.二番煎じ 32.不孝者 33.三井の貸し傘
34.人情八百屋 35.文七元結
(下線は師匠の創作・改作あるいはオチを改作したもの)
・・・という内容です。
とにかく、50席までは頑張りたいと思います。
昨日の稽古会で、次回は、菊田一夫作の「水神」にチャレンジさせていただくことにしました。
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