そば湯
「ダイバーシティ(多様性)」の時代です。
自分にとって当たり前(常識・快適)のことが、誰かにとっては不思議(異様・不快)に感じられることがあるものです。
例えば、私の会社のすぐ近くに「霞ヶ関ビル」があります。
私(の世代)にとっては、恐らく知らない人の方が珍しいでしょう。
ところが、そんな近くにあるビルのことを、40歳代から下の社員は全く知りません。
食事をする際の、ご飯茶碗、味噌汁椀、惣菜を置く位置を知らない若者も多くいます。
新聞を読んでいたら、そばの茹で汁を飲む彼氏を「受け入れられそうにない」と、そばを茹でた汁を「そば湯」として飲む習慣を知らない女性が書いたブログが、インターネット上で波紋を広げているそうです。
彼女にとっては、蕎麦を茹でて余った湯を飲むなんて、百年の恋も冷めるという訳。
曰く、「育ってきた環境の違いなのか、そばの茹で汁を飲む人をはじめてみた。そば湯だからと言うのだけど、茹で汁ごときを健康に良いといって平然と飲む姿を受け入れら れそうにない」・・・・。
一方で、一口飲めば職人の腕が分かるともいわれる「そば湯」。
専門店ならば必ずと言っていいほど出てくるものだけに、ネット上では「そば湯を知らない人がいるのか」と驚く声もあるようで。
・・・そりゃぁ、知らないかもしれません。
知らない人もいるでしょう。
だからと言って、「そば湯を知らないなんて・・・」と言うのも。
「玉子かけご飯」だって、お行儀が悪いって言うところだってあるんですから。
私だって、そば湯のことは知っていますが、和食、洋食、その他で、その独特のルールやマナーを全て知っている訳ではありませんから。
でも、彼は可哀想でしたね。
そば湯を飲む風習は信州から江戸に広まったと言われています。
もともとそばはバランスのとれた栄養食。
なかでもそば粉に含まれる植物性蛋白質はとても良質なことで知られていますが、水に溶けやすくその半分近くがゆで汁に流れ出てしまいます。
せっかくの栄養をムダにしないよう、生活の知恵として口にしたのがそもそもの始まり。
この蛋白質は二日酔いに効果があり、高血圧による血栓予防が期待されるルチン、またビタミン、ミネラルも多量に含まれています。
・・・ということです。