初恋の日

1896(明治29)年のこの日、島崎藤村が「文学界」46号に「こひぐさ」の一編として初恋の詩を発表しました。

林檎のもとに見えしとき
前にさしたる花櫛の
花ある君と思ひけり

林檎をわれにあたへしは
薄紅の秋の実に
人こひ初めしはじめなり

その髪の毛にかゝるとき
たのしき恋の盃を
君が情に酌みしかな

おのづからなる細道は
誰が踏みそめしかたみぞと
問ひたまふこそこひしけれ
「初恋の日」ですか・・
