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2016年1月 3日 (日)

時は流れて

有崎勉作「ラーメン屋」という、新作の人情噺があります。
この噺は、お婆さん落語で有名な五代目古今亭今輔師匠の十八番でした。
そして、有崎勉と言えば、柳家金語楼師匠のペンネームです。
何気なく色々なサイトを見ていたら、五街道雲助師匠が「夜鷹そば屋」をお演りになったと紹介されていました。
注釈に、有崎勉作「ラーメン屋」より、とありました。
4582290412221_1l 子どもができなかったということを惜しむ老夫婦が営む夜鷹そば屋に、ある男が訪れる。
夫婦はなんだかんだと言ってそばを勧めては、結局三杯ものそばをこの男に出すのだが、それを食い終えた男は、自身番へつき出してくれと言い出す。
男は、金がないので、無銭飲食で番屋につきだしてもらえば、それで寝床も確保できるからというつもりだったのだ。
老夫婦は自身番へ行く前に、家へ荷物を置いていくからというので、男に屋台を引くのを手伝ってくれと言う。
家へ着いて、さあ番屋へという男に、夫婦は、屋台を引くのを手伝ってもらった礼として、そばの代金は棒引にするという。
あまつさえ、家に泊めてやるとまで言う老夫婦に、男は感謝しつつも戸惑う。
夫婦は、男と話をするうちに、自分たちには、子どもがなかったから、自分たちのことを、「ちゃん」、「おっかあ」と呼んでくれたら、一分の金をやるからと言って男に頼み込む。
照れながらも男がそれに応じると、夫婦は同じことを何度も繰り返し要求し、せりふも長くなるにつれて、一分が二分になったりして、興にのってくる。
何度もやっているうちに、もうそろそろやめようじゃないかと男が言うと、じゃあ最後だというので、老夫のほうが、「ちゃん、いつまでそば屋をやってるんだよ。オレももう子どもじゃねえんだから、そろそろもうオレにまかせてくれよ」と言ってくれと頼む。
そして、それを男が言うと、老夫は「お前もそのうち結婚するだろ。そしたら、お前とカミさんの間に、オレたちの孫もできる。そうやって、お前たちがうちに遊びにきた時には、孫にみやげのひとつも持たせてやりたいから、もう少しオレのわがままを聞いてくれよ」と言い、その後に、年寄りの頼みを聞いてくれてありがとうと言う。
すると、男は、頼みがあるんだが、オレのことをせがれと呼んでくれないかと言って落げである。
・・・・こんな筋の噺だそうです。
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まさに、「ラーメン屋」のストーリーそのもので、ラーメンがそばに、時代が江戸時代になっているだけのようです。
この翻案は、大正解だと思います。
原作の舞台は、恐らく昭和が背景になっていると思いますが、どうも中途半端な感じがします。
リアリティはあるものの、現在でもないので。
かえって、江戸時代の設定にした方が、イメージがしやすい。
新作でも、江戸時代を舞台にすると、聴き応えのあるものが多いと思います。
圓窓師匠創作の噺を何編か演らせていただきましたが、圓朝が登場する「揺れるとき」以外は、全て江戸時代に設定して演らせてもらいました。
「救いの腕」では、向島へ渡るのに、言問橋ではなくて、吾妻橋にしました。
なぜなら、言問橋は、竹屋の渡しがあって、江戸時代には架かっていなかったから。
「藪入り」も、ほとんどが、明治以降の設定が多いですが、私は、江戸時代に設定しています。
ですから、亀ちゃんが財布に入れて来るのは15円ではなく、5両にしています。
・・・金語楼師匠の数多い創作の中で、こんなパターンで蘇る噺もあるのではと思います。

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