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2015年9月15日 (火)

桶と樽

「猫怪談」では、特に気にもせず、するりと通り過ぎましたが、「桶」と「樽」、「早桶」の代わりに「四斗樽」を使う場面。
桶と樽
正直なところ、この区別を理解していませんでした。
「樽」の方が、ずんぐりしていて、板が厚く、箍も太くてしっかりしているかな…?
そんな程度です。
樽と桶の違いを解かりやすく書くと、桶に蓋が付いた物が樽だということ。
なあんだ、と思いましたが、それだけではありません。
桶と樽
見た目は似ていますが工程が全く違います。
基本的に桶は「柾目」で、樽は「板目」で作ります。
長く容器として使う物には必ず板目を使います。
柾目を使う物は「おひつ」や「寿司桶」のように短時間使う物に限られます。
漬物樽や味噌樽には板目の方が向いています。
なぜなら、柾目は木目を通じて水分が滲み出てしまうからです。
桶と樽は用途が違います。
桶は水を汲んだりする道具です。
一方、樽は酒や醤油を貯蔵したり運搬したりするために用いられます。
したがって液体を貯蔵、運搬する樽にもっとも要求される機能は、液体を漏らさない、すなわち水密性です。
風呂桶は水を汲む時に使いますが、水を長時間にわたって溜めることはしません。
このように桶は水密性よりも、道具として長く使うことができること、すなわち道具として狂いが生じないことがより重要なのです。
1本の木から桶や樽の側板を割り出す時、年輪に対して直角に割ると板の表面に年輪が縦じまとして表れます。
これを「柾目」と呼びます。
年輪に沿って割ると板の表面には等高線のような文様が表れます。
これを「板目」と呼びます。
柾目は水密性には劣りますが、狂いが生じにくく、板目は湿度等によって膨張収縮が生じやすく狂いが出やすいのですが、水密性に秀でています。
このようなことから、狂いが生じにくいことが求められる桶には柾目が使われ、水密性を要求する樽には板目が使われるのです。

…なるほど。

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