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2015年8月13日 (木)

怪談牡丹燈籠

A735f766怪談牡丹灯籠は、中国明代の小説集「剪灯新話」に収録された小説「牡丹燈記」に着想を得て、三遊亭圓朝によって落語の演目として創作された怪談噺。
「牡丹燈記」は、若い女の幽霊が男と逢瀬を重ねたものの、幽霊であることがばれ、幽霊封じをした男を恨んで殺すという話で、圓朝はこの幽霊話に、仇討や殺人、母子再会など、多くの事件と登場人物を加え、それらが複雑に絡み合う一大ドラマに仕立て上げた。
・・・という怪談牡丹燈籠。
日本三大怪談というのがあるそうです。
「四谷怪談」「皿屋敷」そして「牡丹燈籠」。
そこに出て来るヒロイン「お岩」「お菊」「お露」。
他の2作が深い怨恨を遺して死んだ亡霊を主人公としているのと比べて、亡霊と人間との恋愛を描くという点で、原作に見られる中国的な趣きを強く残しているものと言えるでしょう。
また、日本の幽霊には足が無いのが一般的であるのに対して、牡丹燈籠のお露は、カランコロンと駒下駄の音を響かせて夜道を歩いて来る、という演出にも、中国的な幽霊の名残りが見られるといわれます。
旗本飯島平左衛門の娘、お露は浪人の萩原新三郎に恋したあげく焦れ死にをする。
お露は後を追って死んだ下女お米とともに、夜な夜な、牡丹灯籠を手にして新三郎のもとに通うようになる。
その後、新三郎の下働き、関口屋伴蔵によって、髑髏を抱く新三郎の姿が発見され、お露がこの世の者でないことがわかる。
このままでは命がないと教えられた新三郎は、良石和尚から金無垢の海音如来をもらい魔除けの札を張るが、伴蔵の裏切りを受け、露の侵入を許してしまう。
以上の主筋に、飯島家のお家騒動。
伴蔵と女房お峰の因果噺がからみます。
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圓朝の「怪談牡丹灯籠」の速記本は22の章に分かれている。
各章の概要は以下のとおり。
 1.飯島平太郎(のちの平左衞門)、刀屋の店先で酒乱の黒川
   孝藏に絡まれ、斬り殺す。(「発端/刀屋」)
 2.医者の山本志丈の紹介で、飯島平左衞門の娘・お露と美男
   の浪人・萩原新三郎が出会い、互いにひと目惚れする。
   (「臥龍梅/お露新三郎」)

 3.黒川孝藏の息子・孝助が、父の仇と知らず、飯島家の奉公
   人になる。
   平左衞門は気づいたが、黙って孝助に剣術を教える。
 4.萩原新三郎、お露のことを想い、悶々とする。
   店子の伴蔵と釣りに出かけ、お露の香箱の蓋を拾う。
 5.飯島平左衞門の妾・お国、平左衞門の留守中に隣家の
   息子・宮邊源次郎と密通。
   黒川孝助が見咎め、喧嘩になる。

 6.死んだと聞いたお露が萩原新三郎の前に現れる。
 7.相川新五兵衞が飯島平左衞門宅を訪れ、自分の娘・
   お徳と黒川孝助との養子縁組を持ちかける。
 8.人相見の白翁堂勇斎が萩原新三郎宅を訪ね、死相が
   出ていると告げる。
   お露が幽霊であることがわかり、仏像とお札で幽霊封じ
   をする。
 9.宮邊源次郎とお国、邪魔な黒川孝助を消すため、一計を
   案じるが、失敗に終わる。
10.伴蔵と妻のお峰、百両で萩原新三郎の幽霊封じの仏像と
   お札を取り外してやる、と幽霊のお露に持ちかける。
11.飯島平左衞門の金百両が何者かに盗まれる。
   お国はこれを利用、黒川孝助が疑われるように工作する。
12.伴蔵と妻のお峰、幽霊から百両を受け取り、萩原新三郎
   の身辺から仏像とお札を取り去る。(「お札はがし」)
13.飯島平左衞門の機転と計らいで、黒川孝助の濡れ衣は
   晴れたが、孝助は平左衞門を間男の宮邊源次郎と間違え
   て刺してしまう。
   平左衞門は、自分が孝助の父の仇であることを告げ、孝助
   を相川家へ逃がす。(「孝助の槍」)

14.萩原新三郎死亡。
15.飯島平左衞門は深手を負いながらも、宮邊源次郎を殺し
   に行くが、反対に殺されてしまう。
   源次郎とお国は飯島家の金品を盗んで逃走する。
   黒川孝助はお徳と祝言をあげるが、亡き主人・平左衞門の
   仇を討つため源次郎とお国を追う。
16.萩原新三郎の葬儀を済ませたのち、伴蔵と妻のお峰は
   悪事がばれるのを恐れて、伴蔵の故郷・栗橋に引っ越す。
17.伴蔵は幽霊にもらった百両を元手に荒物屋「関口屋」を開き
   成功し、料理屋の酌婦と懇ろになる。
   酌婦は、飯島平左衞門の元妾のお国だった。
   伴蔵は。お国との仲を咎めた妻のお峰を騙して殺す。
   (「栗橋宿/お峰殺し」)
18.死んだお峰が伴蔵の使用人たちに乗り移り、伴蔵の悪事を
   うわ言のように喋り出したので、医者を呼んだところ、その
   医者は山本志丈だった。
   事の次第を知った山本は伴蔵にお国の身の上を暴露する。
   お国の情夫宮邊源次郎が金をゆすりに来るが、逆に伴蔵に
   追い返される。
   伴蔵は栗橋を引き払い、山本と江戸に帰る。(「関口屋」)
19.仇が見つからず、孝助はいったん江戸へ戻り、主人が眠る
   新幡随院を参り、良石和尚に会う。
   婿入り先の相川家に戻ると、お徳との間に息子・孝太郎が
   生まれていたことを知る。
20.伴蔵は悪事の発覚を恐れて山本志丈を殺すが、捕えられる。
   孝助は良石和尚の予言に従い、人相見の白翁堂勇齋を訪ね
   そこで偶然、4歳のときに別れた母親おりえと再会する。
   すると、孝助が探していたお国が、母親の再婚相手の連れ子
   であり、源次郎とともに宇都宮に隠れていることを知る。
21.母おりえがお国と源次郎の隠れ場所に手引きしてくれるという
   ので孝助は宇都宮に出向くが、おりえは、夫に義理立てて、
   お国と源次郎に事の次第を話し、2人を逃す。
22.母おりえは孝助に事の次第を話し、自害する。
   孝助は二人を追い、本懐を遂げる。
こうやって、あらすじをさらってみると、「お露新三郎」の部分と言うのは、発端の近くで、しかも本筋から見ると、あまり影響のない部分であることが分かります。

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