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2015年6月22日 (月)

浜野矩随のこと

先月の「深川三流亭」にご来場くださった方から、「浜野矩随」の筋について、尋ねられました。
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母親が、矩随が若狭屋に褒められるかどうか分からないうちに、自ら命を絶ってしまうのは、どうも釈然としない・・・・という。
若狭屋に褒められて帰って来たのを、親子で喜び合うハッピーエンドでいいじゃないかと・・・。
私は、江戸時代の社会的な背景(男尊女卑・家・母親の位置)等から来る部分と、ストーリーにインパクトを与えるためだというのが大きなポイントだと考えています。
名人の亭主と、自分の腹を痛めた凡人の息子。
家(の格式)を伝えて行くことが、嫁(母親)の最大の任務だった時代、凡庸な息子は、可愛ければなおさらのこと、母にとっては重たい存在だったはず。
息子を覚醒させるためには、畢竟自身の存在は、甘えの温床になってしまう。
従って、自分の命と引き換えにする覚悟を決めた。
まさに、武士の世界の切腹だと思います。
母親が生きていたのでは、覚醒した矩随が、再び緩んでしまう・・・・。
名人の地位を維持させるために、母を失った悔いを以って歯止めにさせようとしたのではないか・・・。
封建時代というのは、実にそういうものだった気がするのです。
従って、今の時代には理解できない思考回路でもあると思います。
「名人は上手の坂をひと上り」・・・。
名人と言われる人に隠された、凡人の想像を超えた世界には、凡人には計り知れない背景や思いがあるものなのでしょう。

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