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2015年6月 8日 (月)

別れ歌

最近は、男が女々しくなりました。
別れ話になると、決まって未練タラタラなのが男。
それに比べて女性のさっぱりしたこと・・・。
「牡丹燈籠」のお露と新三郎は、現世では恐ろしい幽霊の世界に翻弄されますが、元々相思相愛の仲ですから、来世では、幸せに結ばれていることでしょう。
幽霊にも2種類あるそうで、怨んで出る幽霊と、恋しくて出る幽霊。
落語に出て来る幽霊は、基本的には後者が多いようです。
例えば、「三年目」はその典型ですし、「へっつい幽霊」は人恋しさでなく金恋しさですが。
「悋気の火の玉」は、幽霊ではありませんが、恋しいと言うより「焼きもち」ですから、その中間かもしれません。
しかし、いにしえの和歌を探すと、随分女々しいものもあります。
 哀れとも いふべき人は 思ほえで
              身のいたづら になりぬべきかな
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これは、謙徳公と言われた、平安時代中期の公卿「藤原伊尹(これただ)」の作。
貴女に見捨てられた私を、「あぁ、気の毒に」と同情してくれそうな人も、 今はありそうに思えません。
このまま貴女に恋こがれながら、自分の身が空しく消えて死んでいく日を、どうすることも出来ずに、ただ待っているだけなのですよ。

・・・どうです、この女々しさ。
藤原伊尹は、右大臣藤原師輔の長男で、妹の中宮・安子が生んだ冷泉天皇、円融天皇が即位すると栄達し、摂政・太政大臣にまで上り詰めた。
しかし、その翌年に早逝。
子孫は振るわず、権勢は弟の兼家の家系に移る。

若死にだったようですが、「大鏡」に、その逸話のようなものがあるそうです。
まずは「片棒」のような逸話。

伊尹の父師輔は自らの葬送について、極めて簡略にするように遺言していたにもかかわらず、伊尹は通例通りの儀式を行った。
師輔の遺言に背いたために早逝したとの噂があったとされる。

次に、「紀州」のような逸話。
伊尹が若年の頃の除目で、藤原朝成と蔵人頭の候補になった。
朝成は伊尹がまだ若く、家柄もよいのだから、これからも機会はあろうが、自分はこれが最後の機会だから譲ってくれと頼み込んだ。
伊尹はこれを承知するが、結局、蔵人頭には伊尹がなった。
朝成は生霊となって祟りをなし、摂政になって程ない伊尹を殺し、その子たちにも祟りをなしたという。

まぁ、人を恋するというのは、上手く行っても、行かなくても、つらいものです。
「牡丹燈籠」のお露は、新三郎に一目惚れをして、恋焦がれて死んでしまう。
そんなことって、本当にあるのでしょうか・・・。
 あかねさす 日の暮れ行けば すべをなみ
             千たび嘆きて 恋ひつつぞ居る

日の暮れゆくころはあなたへの想いがどうしょうもなくて何度もため息をついてしまいます あなたが恋しくて 恋しくて・・・・・。
ちょっと女々しいコメントになってしまいました。

カラ~ン、コロン。カラ~ン、コロン・・・。

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