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2015年6月 7日 (日)

月の歌

moon2今夜の月齢は「臥待月」か「更待月」のはず。
全く関係はありませんが、西行が月を詠んだ恋歌を「山家集」から・・・。
「山家集」の恋の章には、月の歌が37首あるそうです。
こんな文章がありました。   
澄んだ月に照らされた私の想い、あの人へ届け!   
そんな願いを込めて詠んだ歌。

 ともすれば 月すむ空に あくがるる
              心の果てを 知るよしもがな

そして恋が成就した後は、
 おもかげの 忘らるまじき 別れかな
              名残りを人の 月にとどめて

 
思ひ出づる ことはいつとも いひながら
              月にはたへぬ 心なりけり

恋しい人のことを思い出すのはいつものこと。   
でも別れ際の面影を月にとどめてきたからか、月を見るとあなたへの想いが一層、募ってしまう。
そして募る想いは…
 
恋しさや 思ひよわると ながむれば
              いとど心を くだく月影

 
よもすがら 月を見顔に もてなして
              心の闇に まよふ頃かな

恋しい想いをまぎらわそうと月を眺めても、一層心は乱れる。   
夜通し月をめでるふりをして、心の底では恋に悩む日々。
月を仰いでは叶わぬ恋を嘆く…

 あはれとも 見る人あらば 思ひなん
               月のおもてに やどる心は

我が想いを宿した月を見た人は、あわれと感じることだろう。
和歌に詠われた恋は、叶わなかった恋が多い。   
西行の和歌も同様で百人一首に撰ばれた歌も、

 なげけとて 月やはものを 思はする
              かこち顔なる わが涙かな
 
月の美しさが心に刺さり、止まらない涙。   
それはこれ以上、叶わぬ恋に嘆かぬように流れる涙。

 世々ふとも 忘れがたみの 思ひ出は
              たもとに月の 宿るばかりか

何度生まれ変わっても忘れることのない思い出は、   
叶わぬ恋ゆえに涙に濡れた袂に宿る月だけ。。。   
そして再び月を眺める。

 ながむるに なぐさむことは なけれども
              月を友にて あかす頃かな
 
月を眺めていても恋心がなぐさめられるわけではない。   
さりとて他に慰めてくれるものもなく、月を眺めて夜を明かすこの頃だよ。

念願叶って手にしたものより、叶わなかった願いの方が輝いて見える。   
流れ星や花火のように、一瞬光り輝いて、消えていった思い出の数々。   
また同じような瞬間に出会いたい。そんな想いが明日を生きる力となる。   
心のよりどころは、美化された思い出の中に眠っているのかもしれない。   
だからこそ、叶わぬ恋の歌が時を超えて読まれ続けるのだと思う。

最後にもう一首。
 
君にいかで 月にあらそふ ほどばかり
              めぐり逢ひつつ 影を並べん

毎晩出会う空の月と競うほど、恋しいあなたと出会い、肩を並べていたい。

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