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2015年2月 9日 (月)

寄席番組の減少

最近、寄席番組が極端に少なくなりました。
「早起き名人会」とか、確か学生時代に「早起きもう一度劇場」なんていう、TBSラジオの番組や、NHKでもやっていました。
大学生になってから本格的に落語に触れるようになった私が、初めてまともに圓生師匠を聴いたのは、NHKのラジオ番組での「ねずみ穴」でした。
しかも、その放送の真っ最中に、ニュース速報が入り、山形県酒田市で大火が発生したという、火事の噺を聴いていて洒落にならなかったことを思い出します。
ちょっと前のことですが、NHKで「ラジオ名人寄席」と言う番組がありました。
玉置宏さんの司会でした。
残しておきたい江戸情緒、下座のお囃子、寄席幟。
このラジオ名人寄席には、嘗て一世を風靡致した、東西演芸界の「名人」「上手」「人気者」が、お得意の出し物で御機嫌を伺います。

・・・というオープニングの口上と共に、主として昭和初期頃からの昭和期に、寄席や劇場、ラジオ放送、テレビ放送で活躍した「名人」「上手」「人気者」の落語家、漫才師らの口演の模様を、放送する演目の前後に、演目や演者のエピソードなどの解説を交えて、1996年4月から2008年3月まで放送していた演芸番組でした。
しかし、この番組、音源の無断使用が発覚したとかで、突然の番組が終了してしまいました。
2008年2月10日放送分に、「番組内で放送された音源の1つ(八代目林家正蔵「大仏餅」)が、過去にTBSラジオで収録され放送されたもので、TBSラジオの放送以外で市販されていない音源であり、同番組には他にも音源の不正使用がある」との指摘が、落語評論家の川戸貞吉さんからNHKに寄せられて、「音源不正使用」が発覚。
NHKと玉置さんとの取り決めでは、過去にNHKが放送の為に収録し、その音源を元にレコード・CD化して市販された音源から選ぶという事になってようですが、放送する音源のほとんどが玉置さん独自のコレクションからで、放送の為にNHKや、その他の放送局が収録し、後にその音源を元に市販されたレコードやCD等を、玉置さんがダビングして番組収録前に事前に放送する素材テープと、出典元の音源データとレコード・CD番号をNHKの番組担当者に渡すことになっていたようです。
さらに、珍しい音源や、放送時間に納まる音源を放送しようとして個人的にラジオ、テレビ放送での落語番組をエアチェックし所蔵していたものからの放送もしていたようで、音源の放送使用許諾作業はNHKが行っていたが、玉置さんがテープ等と共に提出した出典元の音源データやレコード・CD番号等には、本来とは違うデータが報告されていたこともあって、そのデータの詳細をNHKの番組側が確認せず、正式な放送使用許諾がないまま放送を行っていたケースがあったようです。
結局、NHKの「ラジオ名人寄席」でのTBSの音源無断使用は、29演目で64回(再放送分等も含む)にもなったと。
NHKラジオでは、この「音源不正使用」の件が発覚後、過去の演者・演目の落語演芸の放送を行う演芸番組(番組内でCD等から放送する番組)が急速に減り、その後、1番組も無くなった。時期もあったようです。
玉置さん、晩年は随分物議を醸し出しただけでなく、寄席演芸番組がなくなったというのは、我々にとっては非常に残念なことでした。

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