横綱の品格
大相撲初場所13日目の、横綱白鵬と大関稀勢の里の取組。
白鵬は勝てば優勝が決まる結びで稀勢の里と対戦。
右おっつけで寄ったが土俵際で稀勢の里の小手投げを食ってほぼ同時に倒れた。
軍配は一度は白鵬に上げられたものの、物言いがつき取り直し。
取り直しの一番は白鵬が押し倒しで稀勢の里を下し、元横綱大鵬を抜く単独史上最多となる33度目の優勝を決めた。
そして、史上最多の33度目の優勝を全勝で達成。
一夜明け、会見に遅刻した上、大偉業が台無しになる、異例の審判批判を展開。午前10時半から始まるはずが、横綱は約1時間遅刻して姿を現した。祝宴が明け方まで続いたことをうかがわせる眠そうな表情。
「疲れました」という第一声に続き、真顔での“演説”が始まった。
「疑惑の相撲が1つある。いかがなものか。13日目ですね」
言及した取組が、この取組。
物言いがつき同体と見なされ、取り直しとなったことへの不満。
「そのときは分からなかったですけど、家に帰ってビデオを見たら、子供が見ても分かることだった。なぜ、取り直しにしたのか。勝ったからよかったけど、もっと緊張感を持って、こんなのは二度とないようにやってほしい」
横綱が公然と判定を批判するのは極めて異例の事態。露骨な言葉も出た。「(審判も)元お相撲さんでしょ?」。
これには、相撲協会の幹部だけでなく、相撲ファンからも「?」「」の声が上がっているようです。
日本相撲協会の電話は午前9時30分の始業から夕方5時15分の終業まで鳴りやまなかった。
担当者によると、その数は100件以上。
9割は「相撲界に人種差別があるように言っているけれど、誰もそんな目で見ていない」「審判に物申すというのは、日本人でもモンゴル人でもあってはいけないこと」など白鵬の発言に対する批判や反論、1割が擁護の意見だったという。
両国国技館で開かれた横綱審議委員会でも横綱の発言は問題視。
出席した北の湖理事長は「(審判は土俵下で)5人で見ているんだから、考えて発言しないといけない。審判長(朝日山親方=元大関大受)が『取り直し』と言ったんだから」とピシャリ。
さらに黙っていられないのは矛先を向けられた審判部。
勝負のビデオ担当を務めた錣山審判委員(元関脇寺尾)は、相手の体が落ちる前に横綱の右足の甲が土俵についており、別の担当親方から「白鵬の負け」との意見も出たという。
同体どころか負けていた可能性もあった一番。
錣山委員は「相撲の流れとルールを総合すれば、取り直しが極めて妥当だ」と反論した。
・・・確かに、右足の甲は微妙ですね。
前人未到の境地にたどりついた第一人者の発言ですから、やはり重いものだと思います。
これまでも、駄目押しなどが問題になったことはありましたが。
それから、千秋楽には「これより三役」のそろい踏みの入場に遅れる失態もあって、テレビ解説でも厳しく指摘されていました。
公の場での審判批判は横綱としての品格そのものが問われることになりました。
慢心から出た“舌禍”というのなら、とても残念なことです。
ノブリス・オブリージュ。
それに、結びの一番に勝利して、180万円もの懸賞金を手にすることが出来る立場の人なのだから、凡人と同じ次元でいてはいけないのでしょう。
でも、まだ30歳前の青年ですから、鬱積していたものもあって、小噴火してしまったのかもしれません。
大関「花筏」の時代ならよかったのでしょうが・・・。
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