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2015年1月 8日 (木)

専門家お薦めの古典落語

評論家の瀧口雅仁がツイッターで教えてくださった、1月4日の日本経済新聞の記事。
「専門家お薦め 古典落語で気持ちも華やぐ初笑い」。
http://www.nikkei.com/article/DGXZZO81310690V21C14A2000000/?dg=1
有名な古典落語をCDやDVDで聴いて腹の底から笑いたい―。
そんな人にお薦めの人気演目を、専門家に選んでもらった。ばかばかしい滑稽噺から心温まる人情噺まで、初笑いのネタは多彩だ。
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・・・という訳で、「古典落語」(興津要編)、「新版落語手帖」(矢野誠一著)などを参考に、楽しく笑える代表的な古典落語を100演目選出し、このリストなどを基に落語に詳しい専門家にお薦めを最大10演目まで挙げてもらった結果が以下のとおりです。
まず、選者は・・・。(敬称略、五十音順)
青木伸広(らくごカフェ代表)・小佐田定雄(落語作家)・川浪和名(ミュージック・テイト西新宿店)・京須偕充(落語評論家)・佐藤友美(「東京かわら版」編集人)・瀧口雅仁(演芸評論家)・中川悠(オールアバウト「落語」ガイド)・安原真琴(映像制作・作家)・矢野誠一(評論家)・やまだりよこ(演芸ジャーナリスト)・和田尚久(放送作家)。
なぁんだ、瀧口さんも名を連ねていらっしゃいますね。
①文七元結~ザ・落語・・やはり来ますね

人情噺の傑作。
最後に登場人物みんなに思いがけない幸せが訪れ、感動的な笑いに浸れる。
主人公の長兵衛は腕のいい職人だが勝負ごとにはまって借金だらけ。
一人娘のお久が窮地を救うべく、吉原の遊郭に自ら身売りしようとする。
ふびんに思った遊郭の女将は長兵衛に50両を貸し与え、「1年で返せばお久を店に出さない」と言う。
50両を懐に家路についた長兵衛は、集金した50両を盗まれて橋の上から身投げしようとしていた商家の手代・文七に出会う……。
「古今亭志ん朝が演じた文七元結は名作中の名作」(川浪和名さん)
②初天神~今が旬の噺ですが、一年中聴きます
上方落語の人気演目で東京でもよく演じられる。
すぐに物をほしがる子ども・金坊に甘い父親。
毎年1月25日に開かれる天満宮の初縁日でも、金坊の「あれ買って」が始まる。
やむなく凧を買ったが夢中で揚げているのは父親の方で……。
「現代の親子連れにもよくあることで、すっと入っていける」(佐藤友美さん)
「男親がいくつになっても子どもっぽいところもよく出ていて面白い」(京須偕充さん)

③長屋の花見~実に落語らしい噺です
上方落語の「貧乏花見」が東京で若干アレンジされた。
貧乏長屋の住人たちはある春の日、大家の誘いで花見に出かける。
だが、家賃を滞らせている面々に大家がすすめるのは、酒でなくお茶を煮出して薄めたものが入っている一升瓶に、ごちそうでなくたくあんなどしか詰められていない重箱で、一行は渋い顔。
「花見の会話はとても洒落(しゃれ)が利いていて笑える」(安原真琴さん)、
「庶民のたくましさがよく出ている。上方落語では三味線も入り、浮き浮きする」(京須さん)
④井戸の茶碗~「一番好きな噺」の定番
不用品を売買する清兵衛が浪人から仏像を買う。
それを細川家の若侍が買い、磨いていると中から小判50両が出てきた。
若侍は小判を返そうとするが実直な浪人は受け取らない。
結局、浪人が手元の茶碗を若侍に与えて代わりに小判の一部を受け取ったが、今度は茶わんが名器と知れ、細川家の殿様が300両で買い取る。
再び大金の珍妙な譲り合いが……。
「皆、いい人だからすがすがしい」(中川悠さん)
⑤富久~私もあやかりたい・・・富くじにですよ
酒席の興を添える太鼓持ち・久蔵は富札を買い、家の神棚に大切にしまい込む。
だが外出中に家が火事で焼けてしまった。
買った富札がなんと1000両の大当たりだったと知るが、札が焼けたのなら換金できないと言われてがっかり。
このとき出会ったのが近所のとび頭。
火事の際、久蔵の神棚を持ち出していた。
「正月にぴったりの縁起の良い演目」(
瀧口雅仁さん
⑥火焔太鼓~古今亭の十八番

ぱっとしない道具屋が仕入れた薄汚い太鼓のほこりをとろうと小僧に叩かせていたら、通りかかった殿様の耳にその音が届き、屋敷に持参するように命じられる。
おとがめかと道具屋はドキドキ。
「ジェットコースターのように話に起伏があり、高揚感がある」(青木伸広さん)
⑦親子酒~親子は似るんです
商家の酒好きの大旦那が、やはり酒好きな息子を心配して一緒に禁酒しようと持ちかける。だが父親の大旦那は息子の留守中に酒を飲んでしまう。
息子が帰宅して慌てるが、息子の方も何だか様子がおかしくて……? 
「十代目金原亭馬生がダメな親子を肯定する温かさがあっていい」(和田尚久さん)
⑧青菜~夏には外せない噺です
植木職人が、商家の夫婦の青菜を巡るしゃれた上品な言い回しに感動し、長屋で女房相手にまねをする。
⑨饅頭こわい~「寿限無」「時そば」と並ぶ定番です
いつも偉そうな男が「饅頭がこわい」と言うので、周りの若者たちが饅頭をたくさん買って懲らしめようとするのだが実は……。
⑩芝浜~やはり日本人にはこれですか
仕事はできるが酒好きの魚屋が大金を拾う。そのお金で泥酔した翌朝、女房から拾ったのは夢だといわれる。夫婦愛を描く名作。

・・・10演目を見て、私の持ちネタは一つも入っていないことが分かりました。
このあたりでも、皆さんから、「つまらない」と言われるのかもしれません。
この記事では、さらに落語に関する薀蓄も語られています。
【聴き比べもまた楽し】
一般に明治期以前に作られた演目を古典落語、それ以降の演目を新作落語と呼ぶ。
関東の江戸落語と関西の上方落語の2つの流れがある。
演芸ジャーナリストのやまだりよこさんは「東京の演目にも上方から取り入れたものが多い」と話す。
同じ演目でも江戸の粋な落語と、商人文化が背景にある上方落語では語り口も物語も違うので聴き比べると面白い。
落語を生で楽しみたいなら東京都内の浅草演芸ホール、新宿末広亭、鈴本演芸場や大阪市の天満天神繁昌(はんじょう)亭などの寄席がある。
1月は人気の落語家たちが出演して大変にぎわう。
ただ寄席ではどんな演目をやるか落語家が登場するまで分からない。
太い書体で紙の札に記されるのも実は演者名だけ。
このため特定の演目を聴きたいならレコード店や通販サイトでCDを入手するのが近道になる。
ここに挙げた以外にも様々な名人のCDなどがあるので、まず手に入れられるものから聴いてみよう。
評論家の矢野誠一さんは「落語は究極の個人芸で、同じ演目でも落語家によって世界が違う」と話す。
そうした世界への道案内として江戸落語の古今亭志ん生、上方の桂米朝をはじめ名人のCD全集なども出ている。
ランク外だったが、旅人が見事にキツネにだまされる「七度狐(しちどぎつね)」などは「上方の特徴であるおはやしがふんだんに入る」(小佐田定雄さん)演目で華やかな雰囲気を楽しめる。
笑顔が絶えない一年を。
楽しい記事でした。

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