空振りの三振と見逃しの三振
世の中、色々なことの匙加減というのは難しいものだとつくづく思います。
あちら立てれば、こちらが立たず・・・、決断するのは大変です。
台風19号の接近に備えて、安全を最優先したJR西日本は13日の午後4時ごろから全面的な運休に踏み切りました。
自然災害に備えて、自治体や企業があらかじめ防災対応を決めておく施策は「タイムライン」(事前防災行動計画)と呼ばれるそうですが、JR西日本が京阪神の全路線で運休したのは初めて。
この対応について、利用客からは「何かあってからでは遅い」と評価する声がある一方、私鉄は一部を除いて運行を継続したこともあり、「動かせる列車は動かしてほしい」という要望も交錯し、専門家の間でも、賛否が分かれているそうです。
「私鉄は動いているのだから、動けるまで動かした方がいい」
「(交通の)足がなくなる方が怖い」・・、東日本大震災ではJR東日本が駅のシャッターを閉じたため乗客は行き場を失い、500万人超の帰宅困難者が出たことも記憶に新しいこと。
これに対し、「何かあってからでは遅い」
「昨今の自然災害の規模を考えると予想外のこともあり得る。安全のための運行の取りやめは仕方がない」と理解を示す意見も。
本音は「広島市の土砂災害で自治体の避難勧告の遅れが非難を浴びた。そうした事情が背景にあるのでは」と分析する専門家もいるようです。
面白いのは、危機管理論の専門家は「災害対策では『空振り三振』はいいが、『見逃し三振』をしてはいけないというのが鉄則。今回の運休は画期的な試みだった」と評価。
鉄道アナリストは、被害の最小化と早期復旧を目指した今回の運休に理解を示しつつも「台風の威力が収まっているのに、ちょっとしたことで運休を繰り返せば信用を失う。『オオカミ少年』のようになりかねない」と危惧する。
基本的に、見逃し三振は勘弁して欲しいですが、空振りの仕方ももう少し考えて振ったほうが良いのかもしれません。
「危機管理」は絶対に不可欠ですが、「管理危機」にならないようにして欲しいものです。